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いよいよ、衆議院解散総選挙の日程が確定いたしました。(2009年 7月) 21日の週の早い時期に解散し、8月 18日公示 8月 30日投票日です。自民党がかつて経験したことのないほど厳しい戦いが始まります。
昨年 (2008年) 9月に発足した麻生内閣は、米証券会社リーマンブラザーズの破綻に端を発する世界金融危機の中で船出をいたしました。証券会社・保険会社・投資銀行そして銀行と破綻の連鎖は世界規模で広がっていきました。金融不安は直ちに実体経済に波及し、世界は 100年に一度とも言われる金融経済危機に突入いたしました。
麻生内閣は世界金融不安が起こるや、直ちに国際通貨基金 IMF にその財務基盤強化のため 10兆円の融資の用意があることを表明致しました。世界の通貨の安定を図る IMF 自身が資金ショートを起こしてしまうことは更なる金融不安へと繋がってしまします。おおもとの信頼性を迅速に確保したという麻生総理の決断は、日本のマスコミこそ評価しませんでしたけれど、国際社会や国際マスコミは極めて高く評価したところです。
G7 や G20 で各国は協調して世界危機に対する対策を打つ必要性を確認いたしましたが、当初、先進国中一番回復が遅れると予想されていた日本が、日銀の短観でも、IMF の見通しでも一番早く回復する国であろうことが最近報道されました。4次に渡る経済対策が適宜適切に行われた証左であろうと思います。しかしながら、世界経済の落ち込みが例をみないくらい激烈であったために、来年後半まで気の抜けない経済運営が必要とされています。
政権交代こそ最大の景気対策などと論理性のない演説をしている民主党の鳩山党首ですが、総選挙に際し民主党は政権を取ったなら経済対策中の基金やエコポイント等各制度は取り消すと公言しています。経済危機の回復過程での政策の取り消しは経済回復の実効性をおとしめます。
景気回復の腰を折る行為によってその後取り返すためのコストがいかに掛かるかということは、かつての細川内閣の政権交代で明らかにされているところであります (それに要した財政赤字まで自民党の責任にされています)。また、不慣れな国際交渉によって世界貿易機関 WTO において外国米の強制輸入制度・ミニマムアクセスという前代未聞の制度を飲んでしまったのも細川内閣であり、その後の農業対策のコスト増へと繋がって行ったことを忘れてはいけないと思います。
麻生内閣の使命・ミッションは経済危機からの脱出であり、そのミッションは現内閣のメンバーにより着実に果たされつつあるという事実を総選挙で問う事が第一ですが、同時に終始つじつまの合わない民主党の荒唐無稽な大衆迎合政策についても糾弾してかなければなりません。
毎年 20兆円ずつ (政権交代の可能性が報道されるや、突然減額してきましたが) 財政支出を行っていく行政サービスの追加は臨時的なものではなく恒常的政策として提案されていますから、10年間で 200兆円、20年間で 400兆円の財源が必要になります。節約で対応するとしか詳細を説明しようとしない民主党ですが、国家実収入 50兆の中からどうしてこの金額を生み出すことができるのか、手品のたねを是非明かしていただきたいと思います。
野党なら何を言っても許される、政権を取ってもできなかったらごめんなさいと言えばいいだけの話だと、民主党幹部からそんな声が聞こえてきそうですが、本当に国民の皆さんはそんな政権に命と生活を託すことができるのでしょうか?