国会リポート 第167号

甘利明本人が綴る、毎月2回のコラムです。国政で今何がおきているのか解りやすく解説しています。

総 覧

民主党鳩山代表の政治資金疑惑は底なし沼の様相を呈してきました。数千万円に及ぶ政治資金を多数の者による個人献金であったかの様に見せかけ、亡くなっている人の名前や電話帳で拾ったような人の名前と住所を記載し延べ約200人分として届けたというものですからこれはもう記載ミスという種類のものではなく、明確な犯罪と言えます。

さらに新聞報道されている以前にも、まったく同様な手口があったと新たな疑惑が生じています。その説明に関し鳩山代表の発言はまったく要領を得ておらず、すべて秘書の責任ということになっています。現金を秘書に渡したのは自分自身であると認めておきながら、何ら関与していないという説明が国民に理解されるはずがありません。75%近い国民が鳩山代表の説明に納得していない (テレビ朝日調査) のも当然です。野党ならこの程度の説明で許される、という甘えが本人や民主党自体にあるのではないでしょうか。

世論調査の通りだとすれば民主党が政権をとる確立は相当あるわけですから、そうなれば鳩山代表は総理大臣としての説明責任を要求されるという自覚がいまだ備わっていないのでないでしょうか。政権をとるということは、その日から国民の命と生活を預かる、ある意味苦汁の日々が始まるという責任を自覚し、覚悟を決めることを意味します。政権交代を標榜するなら権限には責任がついてくることを肝に命ずべきです。

さて、すったもんだの騒動の末、役員人事は内閣の補充人事のみということになりました。党三役人事とそれにまつわるミニ改造がマスコミ報道されていましたが、結局は兼務解除に留まりました。党三役を入れ替えるということを、麻生総理は私を含めて誰にも一切言及していませんでしたので、結局マスコミが期待しアテがはずれたという結果だったのだと思います。

私は仮に内閣人事を行うとするならまずマニフェストを作成し、その上で内閣と党人事のフルチェンジを行い、新しい国家像に対する布陣をこの様に敷いたと国民に説明すべきだと思っていました。結局欠員補充だったわけです。総理が大改造に否定的なのは、麻生内閣の使命が現下の金融経済危機を一刻も早く打開することにあり、この内閣によってそれが実現しつつあるという事実を国民に選挙で問いたい、ということだったのかと思います。

4次にわたる経済対策が明確に功を奏し 7千円台だった株価は 1万円前後をつけ、景気の下落が 3月で底を打ったことも報告され、また日銀の短観によれば景気回復への明るい兆しも見えてきました。日本の景気回復が先進国で一番遅れるのでないかという悲観的観測もありましたが実はこの経済危機から一番早く抜け出す先進国は日本なのではないかという観測も出つつあります。今次の経済運営に対する評価は少なくとも国際的には極めて高いですし、自虐的ともいえる国内メディアだけが評価をしていないのではないでしょうか。

4次にわたる経済対策は理念哲学として極めて理にかなったものであります。まずやるべきことは無用な倒産と失業を防止するための資金繰り対策であり、次にそれを補完し雇用を支える企業の存続を支えていくための仕事繰りであり、そしてその仕事の発注を通じて企業自身の競争力や、日本の国際競争力を高めていくという発注の仕方です。

公共事業は不況対策として極めて即効性のあるものですが、完成したあと経済効果がないものであってはなりません。ぶつ切りになっている東京環状道路をつなげていけば完成後にはさらなる持続的経済効果が見込まれますし、羽田空港の延伸は完成後に羽田の能力を 140%にアップいたします。環境型自動車や家電への買い替え促進策は、企業の研究開発投資を環境技術にシフトさせ企業の競争力強化に資するものになります。

つまりは、経済対策を通じて、一過性でなく持続的成長力に繋げていくものであります。

 

今週の出来事「ケムに巻かれた?

 

週末選挙区に帰ると若い人たちからずいぶんと声援を受けます。

子供たちからサインをせがまれたり、中・高生から写メを頼まれたり、未成年者が多いのはちょっと複雑な心境ですがそれでも張り合いになります。

スーパーの前でたむろしていた数人の女子高生、私を見つけるや大騒ぎ

「甘利さ~ん、日本のために頑張って~!」

「こら、その前にたばこ吸ってちゃまずいだろう。」

すぐに、タバコを消したのは素直でいいんですが、(今、議論のある)選挙権の年齢を下げてもこの人たち本当に投票に行くのかなぁ。