国会リポート 第144号

甘利明本人が綴る、毎月2回のコラムです。国政で今何がおきているのか解りやすく解説しています。

総 覧

「公務員を叩けば叩くほどその人はヒーローになる」「公務員を叩けば叩くほど制度は良くなる」との考えがマスコミを席巻しています。また、そういう行動をとる事によってヒーローになっている議員もいます。この読者の皆さんが公務員だとしたら、朝から晩まで「お前はダメな奴だ」と、言われ続けて、国民のために頑張ろうという意欲が沸いてくるでしょうか?

麻生総理は『信賞必罰』つまり、悪い事をした公務員は厳罰に処すが、良い仕事をした公務員はきちんと評価をする。この方針で、役人は『使いこなすもの』という基本姿勢です。

国連の下において各国の海洋権益を拡大する協議が行われていますが、数年前にいち早くこの動きを察知し、当時自民党の政調会長だった麻生太郎氏に日本の迅速な行動を促した国交省の役人がいました。麻生氏がその場で小泉総理に引き合わせ直ちに対応したお陰で、今日、日本の海洋権益は最大化いたしました。官邸でこの報告に関する閣僚会議が開かれた時、事務方に向かって「あの時、俺の部屋に飛び込んで危機を訴えた役人はここに来ているか?」おずおずと手を挙げた当事者に対し、「君だ!君が、あの時危機感を訴えてなかったら今日はなかった。良くぞやった!」と賞賛し、思わず拍手が起こりました。会議後、事務局の間で『これぞ役人の使い方。皆、ますます頑張ろうという意欲が沸いてくる』という話になったそうです。

役人、特にキャリアと呼ばれている人達は、超一流の大学を優秀な成績で卒業し、放っておいても一流企業から就職の手が差し伸べられる所を、あえて条件の悪い役所に飛び込んできます。

私は、公務員制度改革の中で三高公務員を作ると宣言しています。高い意欲と高い使命感と高い能力を備えた公務員を輩出していく事です。現在、100年ぶりの国家公務員改革を行っております。各省ごとに行っていた人事を内閣官房に一元化し、信賞必罰のルールを徹底して能力と実績に裏打ちされた人事を行う仕組みを作っていきます。

二代前の渡辺行革大臣がこの改革を 5年間で行う、という法律を作りました。私は就任するや直ちに、この改革を前倒ししてさらに進めていくと宣言いたしました。全体を 4年で完成をさせる。関係する各種法律は渡辺元大臣の引いたスケジュール「3年以内に国会提出」を「2年以内に」と加速させる。そして 4年後までの毎年毎年にやるべき事を行程表に列記し、つまみ食いにならないように全体を閣議決定でしばる、という宣言をいたしました。

『さすが甘利大臣』『やはり一年生大臣に、ここまでは出来なかったでしょうね』と、わかっている人からは最大級の評価を頂いております。にも関わらず、何もわからないマスコミ、なかんずくワイドショーはトンチンカンな報道をしています。

渡辺行革を前倒しし、なお且つ、部分食いをされないように全体をバインディングする。これは私のアイディアによる実践です。また、定年前に肩たたきをした役人の活用を図るための再就職紹介は、官民人材交流センターで行う事になりました。これは渡辺元大臣の提案で出来た仕組みで、各省が個々に斡旋をすると不透明になるので、内閣で一元化をして透明化を図るという趣旨です。自分が作った仕組みに自分でクレームを付けるという政治行動は、与党内では理解不能と思われています。

真実というのは後で振り返って見なければ明らかにならないという事は往々にしてあります。

 

今週の出来事「しんきくさい?

 

毎年 1月 4日は、時の内閣総理大臣が伊勢神宮に参拝する事が恒例になっています。今年は国会が 5日から開催される事態となったため、地元に張り付いている閣僚が多く、石破農水大臣と私だけが同行いたしました。

伊勢神宮は、日本中の神様の集まる場所ですから最高権威の神社で、手順としては外宮に参拝した後、内宮に参拝します。

数千人の参拝客の歓声の中を移動するわけですが、今年は私の発案で、外宮参拝の後、川原祓所 (かわらのはらいしょ) に参りました。ここは 20年に一度の式年遷宮を行う際にお祓いをする場所で、古来より神気の湧き出る箇所として知る人ぞ知るスポットです。

地から湧き出るエネルギーに手をかざすと、霊感の強い人は明確に感じられるそうです。ちなみに麻生総理は感じたそうです。

総理を案内して、皆で手をかざしている光景が案の定、週刊誌に掲載されました。文中に曰く『麻生内閣も、いよいよ神頼みか?!』

…毎年、総理が伊勢神宮に行く事自体が神頼みじゃないの?