国会リポート 第137号

甘利明本人が綴る、毎月2回のコラムです。国政で今何がおきているのか解りやすく解説しています。

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お陰様で、行政改革・公務員制度改革・規制改革担当大臣として 5度目の入閣をすることができました。これもひとえに日々私をお支え頂いている皆様のおかげ様です。

3つの改革は正に日本の構造改革の原点です。行政の効率を上げ、公務員制度をバージョンアップし、経済効率を飛躍的に引き上げ、日本を二十一世紀型に体質改善していく事が、私の役目です。二十世紀の車は 1リットルのガソリンで 10キロ走るのが精いっぱいでしたが、二十一世紀の車は 15キロも 20キロも走ることができます。日本政府のエンジンをバージョンアップし、同じ量の燃料で 5割も 10割も余計走れる性能にしていく事こそ、構造改革です。

今世界は、アメリカ発の金融不安を世界金融不安に発展させないための大攻防戦を展開中です。ブッシュ大統領の懸命な説得によって、一度は下院で否決された金融安定化法案を、なんとか成立させました。

75兆円の公的資金による金融機関の不良債権の買い取りは、取り付け騒ぎの不安を除去することに貢献します。金融システムとは信用そのものでありますから、信用の喪失はシステムの崩壊を意味します。また金融システムの崩壊は経済の崩壊に繋がりますから、金融信用秩序の維持には、あらゆる犠牲を覚悟しなければなりません。

国民の税金を投入して、金融システムを維持することの重要性を有権者に受け入れてもらうのは、どこの国でもそう簡単ではない事が今回の事態でも再確認されました。日本の公的資金の注入は、銀行に国のお金をあげてしまうわけではなく、新しく発行する株を国が買い上げる行為だということが、なかなか理解されないところに問題があります。銀行の経営が改善すれば、株価は上がりますし、政府が引き取った株を売却すれば、注入した公的資金は国庫に返ってくるわけです。

いよいよ、国会で予算委員会の攻防戦が開始されます。この補正予算は今回の金融不安をすべて織り込んでいるものではありませんが、可及的速やかに成立させ、補正予算を政局にしてしまう事だけは政治家の良識として避けなければなりません。補正予算には、中小企業向けの 4千億円の金融対策が盛り込まれていますが、その上でアメリカ発金融不安のマグニチュードを測る必要があります。

渡辺行革担当大臣の時に、政府系金融機関の設計変更を行いましたが、今私が心配していることは、中小企業の資金繰りが比較的良い時の基本設計であり、危機対応としては、最悪の事態の時に基本設計する、という発想が政府系金融機関には必要ではなかったのかという思いです。

企業にとって、赤字倒産はいたしかたない事ですが、黒字倒産だけは、政治の責任で防いでいかなければなりません。事業は順調なのに、運転資金が貸し渋りや、貸し剥がしで止まってしまったために、倒産が発生することだけは避けなければなりません。世界レベルで、危機対応を共有しなければならない今こそ、あらゆる経験を有する自民党の真価が問われます。

危機管理は、経験がなせる業ですから。

 

今週の出来事「アイドル政治家

 

政局が風雲急を告げていますので、極力週末は選挙区に帰るようにしています。昨日 (10月 4日) も運動会やらお祭りやら十数か所回りました。

大人からもそうですが、最近はよく子供たちから握手を求められます。すれ違いざま、頻繁に声もかけられるのはいいんですが、

「あーっ、甘利だ。」「なに?甘利明?」「ホントだ!甘利明だよ!」全部呼び捨て…。

一緒にいた母親が、「こら!さんって、つけなさい。偉い先生なんだから。」と、大慌て。

『いいんですよ。キムタクをキムタクさんって呼ぶ子供はいないんでしょうから。』

政治家もテレビタレントも子供にとっては一緒です。

そういえば、私の歌を作曲してくれるっていう約束、三木たかし先生 (有名な作曲家) !憶えてます?