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パリでの OECD の閣僚会合で地球温暖化問題や原油高問題を議論し、さらに WTO 非公式閣僚会合ではドーハラウンドの妥結に向けて議論し、帰国するや成田から羽田に移動し、すぐさま青森に飛び第二回 5 カ国エネルギー大臣会合、G8 エネルギー大臣会合と矢継ぎ早に国際会議に出席いたしました。
特に日本でのいくつかの会合は議長役を務め、息つく暇のない日程となりました。青森での会合は、最初に日・米・中・印・韓のエネルギー大臣の会合を行い、続いて G8 サミット国によるエネルギー大臣会合に移り、第3ステージはその二つが合体した 11 カ国エネルギー大臣会合になりました。
地球上の温暖化ガスの発生はエネルギー起源がその大宗を占めます。鉄を作るときには還元剤としてコークスを使いますから鉄鉱石から CO2 が発生しますし、そもそも生産活動に必要なエネルギーには CO2 がついてまわります。車を走らせれば CO2 が出ますし、オフィスや家庭からもエネルギー使用に伴う大量の CO2 が排出されています。生産活動や国民生活にかかわるエネルギーのクリーン利用や省エネを図ることは、そのまま地球温暖化問題の重要な解決策となります。エネルギー大臣会合とはすなわち環境大臣会合の意味合いがあります。
2013 年から始まる、京都議定書に続く新しい世界の枠組みは全員参加が至上命題です。現在の枠組みに加わっている国の温暖化ガス排出総量は地球全体の 3 割にしかなりません。つまり、3 割の国が CO2 排出をゼロにしたところで (もちろんそんな事は不可能ですが) 残りの 7 割の排出を占める国が好き勝手をやっていたら、何の解決にもなりません。
アメリカや中国やインド (この 3 カ国で世界の CO2 の 4 割を占めています。ちなみに日本は 4% 強です) 等、新しい枠組みに取り込まなければならない途上国 (アメリカは先進国ですが) からは、「我々にも発展する権利 (つまり CO2 の排出を増加させる権利) がある。」という主張がありますから、大事なことは CO2 排出削減と経済成長が両立する事であります。
日本が提唱しているセクター別アプローチは、それが可能になる最有力の手法です。その重要性が中国・インドを含む 11 カ国の会合で青森宣言としてまとめられた事は極めて意義深い事でありますし、来月のサミットに向けて重要なインプットができたと思います。また、この時に共有をされた原油高への認識と対策は 22 日にサウジアラビアで緊急開催される OPEC と主要消費国によるエネルギー大臣会合に繋がっていきます。OPEC の盟主、サウジアラビアのアブドゥラー国王が主宰する会議であるだけに、極めて重みのある物になると思います。
ナイミ石油大臣から直接電話で出席要請を受けた私としても、ぜひ成果の挙がるものにしたいと思っています。