国会リポート 第126号

甘利明本人が綴る、毎月2回のコラムです。国政で今何がおきているのか解りやすく解説しています。

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次期日銀総裁候補者が、財務省次官経験者というだけで二人続けて民主党を始めとする野党に拒否されました。

いまや野党には物事の成否を決める決定権があります。従来とは違って結果に応分の責任を持たねばならない形態になっているのですから、かつてのように気楽に反対はできません。財金分離すなわち、金融政策が財政政策に引きずられない様に、との意味ですが行政としては金融庁ができて、財金分離が実行されていますし、日銀法の改正で日銀の独立性は明確に担保されている訳ですから、いまや反対の理由にはならないはずです。

最近聞いたブラックジョークは 「私は○○氏を日銀総裁に推薦しようと思います。」 「その理由は?」 「何より彼には財政政策の知識がありませんから。」 というものでした。世界の中央銀行の総裁の中には、財務次官経験者が何人もいます。財政政策のエキスパートでなければ金融政策も語れないからです。まるで呪縛に取り付かれたような対応を続ければ、世界の金融筋からは嘲笑の対象とされかねません。高い見識を持った財政の専門家で金融のプロこそ求められる中央銀行総裁像だと思います。

さて、去る 14 日 (金)から 16 日 (日) まで G20 環境大臣・エネルギー大臣会合が幕張で開催をされ、私が共同議長を務めました。ここでの焦点の一つはポスト京都に向けて次期枠組みをどう作るかということでした。私からセクター別ボトムアップアプローチを提案いたしました。鉄鋼・石炭・電力・化学・セメント等々、国民経済の主要八分野からの温暖化ガス排出量は全世界ですべての排出量の 7 割を占めます。つまりこの分野で CO2 排出量を半減すれば、地球の 35% の CO2 は削減されるという事になります。

日本は世界一 CO2 効率の良い国ですから、日本の省エネ技術を欧米、アジア、アフリカに移転していくだけで圧倒的効果があがります。途上国は CDM の様な、今まで採られてきた途上国へのメリットが日本の提案に取って代わられて不利になってしまうのではないかと誤解する声がありましたが、先進国からはおおむね好評な反応でした。

17日 (月) の日 EU 高級事務レベル協議では、かつてこの提案に乗り気を示していなかった EU 側から評価する前向きな発言が提示されました。合わせて基準年は 1990 年が聖域ではない、新たな EU 提案は 2005 年を域内基準年としているという発言まで飛び出しました。

セクター別アプローチと基準年変更は公平公正な取り組みに向けての大前提と主張してきましたが、当初 『ローマ教会の前で、それでも地球は回っている』 と叫ぶような空しさを覚えながらやってきた我々の努力が少しずつ実を結ぼうとしています。

日本提案を評価しようとしない自虐的な一部マスコミも本提案の有効性を認めざるを得ないと思います。

 

今週の出来事「あ~っイッちゃった!

 

東京発日本ファッションウィークいわゆる東京コレクションが今年も盛大に開催されました。

パリコレやミラノコレクションに匹敵するニューモード発信基地にしようとする試みです。昨年はコシノジュンコさんのファッションショーにショーモデルとして登場しましたが、今年は和装のモデルとしてレセプションに出席しました。和装の老舗誉田屋源兵衛 10代目当主山口源兵衛さんプロデュースの和装でしたので大好評でした。

役所が用意したスピーチ案 (常にアドリブですのでその通り読んだ試しがありません) に目を通すと 「政界で一番センスの良いと言われている私ですが…」 と書かれてありました。問いただすと多分そうおっしゃると思いましたので、との局長の弁。俺ってそんなに自惚れてるかなぁ。

で、そう言ったのかって?まさか…勿論言いましたよ。「政界で最もイケてる議員と言われている私ですが…間違えないで下さいよ!イッちゃってる議員とは違いますから!」ってね。