総 覧
先週、スイスのダボスで開催をされた世界経済フォーラム主催の会議に出席してきました。ダボスは、昔はスイスの山間の小さなスキー観光地でしたが 37 年前、代表を務めるシュワブ氏が国際会議をこの地に誘致し、やがてその年の政治経済の動向を占う国際的なイベントへと発展していきました。
昨年、世界経済フォーラム・シュワブ代表が私の大臣室を訪れた際 「来年も是非出席して頂きたい。」 との要請を受けておりました。今年は地球温暖化問題に向けて各国提案が競い合う年になりますし、ポスト京都の枠組み作りに向けて極めて重要な年となります。そんな事もあって、総理より一足先に出発しました。
国会開会中ではありましたが野党の皆さんにもご理解を頂き、国会の承認を頂きました。エネルギーサミットで二つのセッション、気候変動に関する世界の経済人との会合、さらに WTO 絡みで二つのセッション、そして私が主宰する主要エネルギー消費国大臣会合。その空き時間を利用して 7 カ国・国際機関の閣僚・代表とのバイ会談と休む間もなく精力的に会合を重ねてきました。
ダボスでは世界中から政界・財界・学界の代表者が集まり、数十にわたるテーマ毎の会議があちこちで開かれています。私は、昨年はパネリスト、今年はリードスピーチをいくつか担当しましたが、福田総理は大会議場で特別講演を行いました。
地球温暖化防止に向けての日本提案は、省エネ技術や新エネ技術を日本から世界に移転しつつ、2020 年までにエネルギー効率 30% 改善を世界で共有する、加えて革新的技術開発を推進するというものであり、日本は主要排出国と共にセクター別改善目標を積み上げ、CO2 削減総量目標にコミットしていく、というものであります。
また、アメリカ発の金融不安に対しては日本の過去のバブル崩壊後の経験を通じたノウハウで貢献していくという種のスピーチでありました。この講演はフィナンシャルタイムズを始め外国メディアはかなり好意的に受け止めていました。現地に入って感じた事は、アメリカのサブプライムローンに始まる金融不安の問題が当初の地球環境問題を超えて大きなテーマになりつつある、という事でありました。
経済原則から言えば、成熟した先進国の経済は低金利となり、そのお金が途上国に流れ込んで実物経済の発展に貢献するというはずですが、資源価格の高騰を中心にイマージングカントリーのだぶ付き資金の投資先がアメリカ一国しかなく、過剰流動性を生み出してしまっているという図式です。資源マネーを実物経済の投資先へと適切に誘導する施策が必要です。
年初の中東訪問でソブリンファンドと日本貿易保険との連携の覚え書を交わしてきましたが、世界に先駆けて道筋を作ったと自負しています。