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24 日の夕刊で、日経新聞は 『安倍晋三氏総裁選出馬へ』 と報じ、翌日朝刊の全紙が一斉に同種の報道を致しました。
25 日の夜も番記者 10 名ほどが待ちうけ、日経の記者が 「先生、安倍さんの出馬表明をどう受け止められますか?」 と口火を切ってきました。「そっちが夕刊で勝手に報じた事がこの騒ぎになったんじゃないの、自分で火を付けておいてよく言うよ!」 と返答しましたが、安部さん自身はいつもと変わらぬ言質をとられない慎重な言い回しで、「官房長官としての職責として 6 月 18 日までの会期ならびに 7 月中旬のサミットが終わるまでは何も言えません。終わった後に自分の考え方を申し述べます。」 と出馬する・しないの具体的表現は避けています。
日経がフライングをして 『出馬を決意』 と書いたものですから、たまらず他社も翌日の朝刊でこれに追随した訳です。不正確な報道には訂正を求めて抗議するのが通常ですが、訂正要求も出なかったところを見ればそれはそれでよしと安倍さんも考えているのでしょう。有力な対抗馬と目される福田陣営としては、安倍晋三氏が出馬表明をする前までに外堀を埋め安倍包囲網を構築し支持率を上げ安倍氏出馬断念に追い込みたかったところだと思いますが、マスコミのフライング報道が機先を制した形となり、作戦変更を余儀なくされました。
時を同じくして、再チャレンジ支援政策議員連盟が発足します。これは格差拡大社会の批判に応えて安倍官房長官を中心に再チャレンジへの支援策を取りまとめる事になりましたが、それを自民党側で支援していく有志の集まりで、事実上の安倍応援団と目されています。この議員連盟には麻生派・谷垣派を除く全ての派閥から世話人が出て大規模な組織になる事が予想されています。党内の一部からは反発も出ていますが、この流れは止まりそうにありません。
世論調査による総裁候補は安倍・福田両氏に収れんしつつあり、加えて安倍・福田間のポイント差は 10 ポイント強へと縮まっています。しかし、自民党支持者に限って言えば相変わらずダブルスコアからトリプルスコアで安倍氏が圧倒的優位を保っています。待ちの政治スタイルの福田氏が機先を制されても戦いに挑むのか、不出馬の場合に福田支持勢力がどこへ向かうのか、まだまだ予断は許しませんが安倍支持網が少しずつ顕在化しているのは事実です。新総裁には 10 月の補欠選挙 (亀井善之先生死去による)、来年 7 月の参議院選挙と絶対に負けられない戦いが控えています。しっかりしたビジョンと確固たる使命感、そして国民的人気を醸成できる指導者を選出したいと思います。