総 覧
姉歯元建築士の構造計算偽装問題は、彼自身が一番責められるべきです。しかし、チェック機能が働かなかったところと関係者の資力不足により損害賠償を徴求できそうもないところに制度上の問題があります。事前規制・裁量行政型社会から事後監視・救済型社会への転換にはまだまだ不備な点があるという事だと思います。
さて、いよいよ二十日から来年度予算の政府原案の最終策定作業が始まります。予算編成大綱には編成方針が書かれていますが、語呂よく表現するならば 3 方針 6 改革 4 分野と言う事ができます。
3 方針というのは小泉内閣が掲げる
- 「改革なくして成長なし」
- 「民間にできる事は民間に」
- 「地方にできる事は地方に」
という原則で、その下に小さくて効率の良い政府を作る事です。デフレからの脱却を第一に計って新たな成長基盤を構築し、行財政改革や税制改革を通じ、2010 年初頭には 「国債費を除いたその年の政策支出はその年の収入で賄う」、つまりプライマリーバランスの均衡・黒字化を計るシナリオです。
行財政改革の基本となる 6 改革とは
- 三位一体改革
- 政府系金融機関改革
- 医療制度改革
- 特別会計改革
- 公務員総人件費改革
- 政府の資産と債務の削減
です。これらをほぼ同時進行で進めていくものですから、政務調査会はてんやわんやの大忙しです。
三位一体や政府系金融機関、医療制度改革は方針の取りまとめができましたし、特別会計は最終調整を残すだけになりました。あとは総人件費改革や政府資産・債務圧縮が残されています。三位一体には座長として、政府系金融機関には検討メンバーとしてそれぞれ取り組みました。残りの二課題は政務調査会の中に設置してある財政改革研究会にプロジェクトチームを作って来年の 5 月までに最終取りまとめを行ないます。なお、財革研の座長も私が務めます。
4 分野とは予算の重点化 4 分野の事で、限られた資源 (予算) を 「選択と集中」 の考え方に従って重点的に投下していく分野です。
- 人間力向上:教育や文化、科学技術やITです
- 都市と地方の個性的発展
- 安心できる高齢化社会と少子化対策
- 循環型社会・地球環境対策
です。
過去のリポートでお伝えしている通り、政府は毅然たる姿勢を持って、先進国中最悪の財政の改革に腰を上げました。歳出を絞りながら経済活力を落とさないために、今まで以上に限られた予算を効果的に投入していく方針です。重点的に増やされる部分があるという事は、それ以外の分野が減らされるという覚悟をしなければなりません。我々は総論賛成各論反対との戦いを引き続きしていかなければなりません。