国会リポート 第68号

甘利明本人が綴る、毎月2回のコラムです。国政で今何がおきているのか解りやすく解説しています。

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衆議院総務委員会において竹中郵政民営化担当大臣が出席をドタキャンしたという事で、民主党が態度を硬化しすべての委員会をボイコットし審議拒否に入りました。事情を調べてみるとそもそも竹中大臣は総務委員会の担当大臣ではなく (担当大臣は麻生総務大臣)、担当以外の委員会に担当外大臣が出向く時には副大臣が対応する、というのが国会のルールであるため、国対 (国会対策委員会) の判断で副大臣対応とし野党に通告し問題は処理されたはずでしたが、日頃竹中大臣に対する総務委員会の風当たりの強さから審議拒否へと暴走してしまった、との事でした。

通常、この種の事態が起きる時には、民主党の国対委員長から自民党の国対委員長に事情説明があるはずですが、いきなり関係ない委員会まですべて止めてしまうものですから、自民党・中川国対委員長は怒り心頭です。14 日には起きてくる (国会用語では野党が審議拒否する事を寝る、と言い再開する事を起きると言います) とのアングラ情報が流れているため、このボイコットは衆議院の補欠選挙対策 (12 日が公示) ではないかという声すら流れています。

一方、自民党内では郵政民営化法案が党内調整の最終局面を迎えてきました。当初の政府案では、郵政三事業 (郵便・貯金・簡保。これに全国 2 万 4 千の窓口支店業務を加えた四事業と政府は言っています) がバラバラにされてしまい、郵便局ネットワークや郵便事業自身が破綻に追い込まれると心配されています。三事業一体運営と民営化は両立をしづらい課題ですが、直近に示された修正案では郵便貯金会社と簡易保険会社の株を売却し、二つを民営化させた後、持ち株会社が投資先として二つの会社の株を買い戻し (10% 程度と思われます) 大株主として二つの民営会社を、持ち株会社傘下の二つの特殊会社 (窓口ネットワーク会社と郵便会社) と連携をとらせる。結果として郵政四事業の一体化が図れるというもので、一体感を維持しながら民営化も実現するという極めて頭の良い案でした。与謝野政調会長や麻生総務大臣と会食した際、

「誰が考えたのか、頭の良い人が居るもんですね」 と言うと

「おれおれ、俺が考えたんだよ」 と麻生大臣が得意気に答えるもんですから、2 ~ 3 日後の党郵政合同部会で

「麻生氏は IQ 160 はあるんじゃないか」 と持ち上げておきました。

ちなみに私は 120 です。血圧の話ですけどね。

 

今週の出来事「あばたもえくぼ

 

かつて日本でヒットした 「Shall we Dance?」 のハリウッドリメーク版が世界中でヒットしていますが、日本公開に先立ち特別試写会にコンテンツ議員連盟会長として招待されました。

議員連盟の会員にも呼びかけましたが主演のリチャード・ギアが舞台挨拶するとあって、皆奥様連れで参加しました。目の前で見るリチャード・ギアはさすがに格好良く、連れの奥様方は隣の亭主と見比べつつ、その落差に一様に溜め息をついていました。

「こんな所へ女房を連れてくると逆効果だなぁ」 と、隣の小坂憲次代議士夫妻に声をかけると

「いいえ、家内は私の方がいいって言ってくれてますから」 との答え。そういえば

『女房が 妬くほど亭主 もてもせず』 って言う川柳があったなぁ。それとも

『知らぬは亭主ばかりなり』 だっけ?