国会リポート 第62号

甘利明本人が綴る、毎月2回のコラムです。国政で今何がおきているのか解りやすく解説しています。

総 覧

あけましておめでとうございます。昨年は地震・台風・津波と国内外、天変地異のような一年でした。スマトラ沖地震による津波へのわが国の迅速な対応は内外から評価をされていますが、イラク戦争を通じて離散してしまった国連・EU とアメリカとの関係が津波災害復旧に向けての世界一丸となった取り組みを通じ信頼回復されれば惨事の中のせめてもの救いと言えましょう。

津波の高さは最大 10 メーターと報じられていますが、正確に言えば海の水位が全体に 10 メーター上がったまま押し寄せてきたということです。サーフィンをやっている人達が大波に叩かれた時に 「まるでコンクリートに打ち付けられたようだ」 と表現をしますが、原形をとどめない車や建物を見れば押し寄せる津波の破壊力が思い知れます。15 万人以上が亡くなり 500 万人が被災をした惨状は目を覆うばかりですが、食中毒や疫病による二次災害を防ぐために最速・最大の援助が必要です。

日本は、過去のチリ地震による大津波を始め多くの犠牲の上に警報システムが完成していますが、資金・物資・医療援助や人的貢献に加え津波に対する知見で貢献するという事も大いに期待されています。

ASEAN が最も頼りにしているのが日本である以上、他国に先駆けあらゆる努力を傾注する必要があります。一番困っている時に一番頼りになる国こそ一番信頼が出来る国だからです。

甘利事務所でも新潟中越地震同様、職員一同、貧者の一灯を贈りたいと思います。

デパートの初売りや神社の三が日の人出は過去最高だったそうで、踊り場状態に入ったわが国の景気もかなり底堅いと報じられています。こう言うと必ず反論する人が居ますが、そしてその論拠は決して間違っていないと思いますが、景気はマインドが実体経済に影響力を及ぼす最たるものです。みんなで景気が悪いと叫び合えば必ず景気は下降します。皆が前向きな気持ちを持てば再び上昇気流に乗るファンダメンタルズを日本経済は持っています。

 

今週の出来事「勘違い

 

正月休みに林家こぶ平氏の落語を聞く機会がありました。こぶ平は 「昭和の爆笑王」 林家三平の長男で、三月に九代目林家正蔵を襲名しますがテレビでお馴染みの軽いノリの芸人かと思いきや、襲名を前にある種の風格すら漂っていました。病床の三平の忌まわの際に駆け付けた時、主治医が

「息子さんですよ。分かりますか?」

もうろうとしている三平に再度

「三平さん、自分の本名を言えますか?」

との呼びかけに右手で額を掻く得意のポーズで

「石原裕次郎!」

とやったそうで、泣いていいのか笑っていいのか判らなかったと述懐していました。笑いの中に芸人の凄みを感じました。

落語は言葉の中に全ての状況を再現し、間合いの取り方一つとっても政治家にとっては勉強になる事ばかりです。私も、穏やかな雰囲気の中に凄みのある政治家を目指したいと思います。

とりあえず、楽して当選出来る政治家とか・・・ん?