総 覧
拉致事件で北朝鮮側が示した証拠は、またもやでたらめでした。日本の DNA 鑑定技術を甘く見ていたとの解説がありますが果たしてそうでしょうか。
いずれバレてしまう贋の証拠を提出して交渉を長引かせる意味があるのか考えてみると、北朝鮮側に引き伸ばすメリットは何もないと思われます。日本側のフラストレーションが極限にまで達していることを承知しているはずですし、小出しに情報を出しながら援助を引き出していこうという作戦は、もう通じないことを良く承知しているはずです。だとすれば、出したくても出せない事情があると考えるほうが素直だと思います。事実を公表すれば更に事態が悪化すると北朝鮮側が考えるなら今回のような行動をとるのではないでしょうか。拉致者の生存に一縷の望みを託しているのは全国民共通の想いですが、北朝鮮側が遺骨の確認も出来ない状況に被害者が置かれているとしたら、金正日独裁政権の非道さは更に筆舌に尽くしがたいものといえます。六カ国協議の開催に北朝鮮を追い込んでいかないと核ミサイル開発を阻止することは出来ません。小泉総理が残りの食料人道支援を凍結しつつも、経済制裁に言及しないのは北朝鮮を追い込みつつ六者協議に引き出すことを考えているからです。
12 月 9 日の閣議でイラクへの自衛隊派遣を一年延長いたしました。事前に訪問した大野功統防衛庁長官、自民武部・公明冬柴両幹事長からは 「自衛隊の宿営地サマーワの治安が比較的安定している」 「自衛隊の浄化給水活動や学校復旧活動、そして医療支援活動はサマーワ市民の圧倒的支持を受けている」 との報告がありました。「なぜサマーワなんだ」 との質問をよく受けますが、フセイン独裁政権のとき一番虐げられていたのがサマーワを中心とするムサンナー県であり、そこだけが取り残された地域として生活水準が落ち込んでおり、今回の支援を通じてようやく他の地域並みになるからであり、同時に虐げられていただけに反フセインの意識が強く市民が力を合わせて自衛隊を守るという機運が醸成されているからです。
延長要請の署名が集まったり自衛隊支持のデモ行進が起きたりすることからも現地の状況を知らせるマスコミの報道が正確さを欠いていると言えましょう。