国会リポート 第48号

甘利明本人が綴る、毎月2回のコラムです。国政で今何がおきているのか解りやすく解説しています。

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国民年金の未納問題は 200人近い国会議員が当事者であったということもあり、制度上、運営上の問題という冷静な議論にようやくなってきました。

私もホームページ上で明らかにしましたとおり、(5/15付) その一人でありました。毎月 10万円以上引き落とされる議員年金には、厚生年金と同様、国民年金の機能が含まれているものと誤解していた期間がありました。その反省に基づいて、罰金を加算して未納分を全納するという案を提案しましたが、それが与党案として採用され、今国会に緊急提出をされることになりました。災い転じて福となればと思っております。

今回の騒ぎを外国の議員や特派員は 「クレイジー」 「どうしてそんな騒ぎになるのか理解に苦しむ」 とコメントしていましたが、冷静な議論に耳を貸さない日本のマスコミの魔女狩り体質が戦前と何ら変わらないと感じた識者は多いようです。

5月の連休明けに訪中をし、胡錦涛国家主席と会談してきました。その際 「拉致問題は近々解決に向かうと思う。日朝両国でよく話し合って欲しい」 「北朝鮮の核問題は米朝双方に不信感がある。あくまでも平和裏に解決することが必要で、それには少し時間がかかる」 との発言がありました。

また、北朝鮮担当外交筆頭副部長の戴秉国氏からは 「核問題は北朝鮮の政治的軍事的安全が確保されれば解決する問題だと思う」 という発言がありました。

合わせて考えると、先に訪中した金正日総書記から 「アメリカが金正日政治体制を保障し軍事行動を起こさないと確約をするよう、中国から働きかけて欲しい」、さらには 「拉致問題の解決は 6者協議の前に決着をしたいが、それは日本の出方次第」 とのコメントが、胡錦涛主席になされたものと推測されます。

一昨日、小泉総理は 2回目の訪朝を終え帰国しましたが、この訪朝は十分及第点を付けられるものだと思います。ジェンキンス氏一家は本人の強い希望で来日を拒否して残ったわけですし、行方不明者 10人については 「解決済み」 との公式見解を覆して、再調査を約束したわけですし、核やミサイルの問題も 6者協議の中で解決していく姿勢を明らかにしたのであり、全体として前進したことは間違いない事実であります。

粗を探すだけの評価ではなく、次につなげる評価をしたいものです。

 

今週の出来事「早くからそっちへ行けばよかったのに

 

先日、日本橋で開かれた細川護煕元総理の作陶展に行って来ました。政治を引退後は晴耕雨陶の趣味三昧のようで、総理時代よりはるかに活き活きしていました。

その腕前はまさに天才肌と言ってよく、玄人が脱帽するものばかり。少なくとも政治よりははるかに才能があるようです。完全に納得の行く作品が出来たら、真っ先に私に連絡をするという約束になっておりまして、今回の出来具合を尋ねましたら 「まだ八分です」 というお返事でした。

しかし、本当にプロが座り込んでしまうくらい素晴らしい出来栄えでした。