国会リポート 第407号

甘利明本人が綴る、毎月2回のコラムです。国政で今何が起きているのか解りやすく解説しています。
※本記事の無断転載を固くお断り申し上げます。

総 覧

 緊急事態宣言が全国的に解除されました。この解除という言葉が誤解を生んでいます。街は人出が多くなり、マスクを付けない人が出始めました。宣言は解除されましたが、制限が解除されたわけではありません。制限は緩和されたというのが正確な理解です。よって緊急事態は解除されたわけではなく緩和されたのです。外出や店への立ち寄りは緩和されましたが、今まで通りマスクを付けて行動すること。6月19日までを第一段階、そして7月、8月と開催できるイベント等、順を追って平時の体制に戻ってはいきますが、マスクを付け、手洗いを頻繁におこない、一定の距離を保つ。行動範囲の制約は外れていきますが、 行動姿勢は緊急事態宣言下と変わりません。コロナの前に戻るのではなく、ポストコロナのニューノーマル(新常態)が始まるのです。そしてそれはワクチンが開発普及されるまで続いていく新たな生活様式なのです。緊急事態宣言が解除された途端、マスクを外す行為は全く事態を理解していない行為です。韓国やドイツでは緊急事態を緩めた途端、新たなクラスターが発生しました。熱があるのに平然とライブハウスに行き、そこでクラスターを作ってしまった人、緊急事態の解除の意味を取り違えていた一人です。専門家に言わせると新型コロナの感染力が一番強くなるのが発症直前と言われています。自覚症状がないか弱い時が一番危険ですからマスク手洗いソーシャルディスタンスは新たな生活様式として馴染ませていかなければなりません。

 さて、二次補正が閣議決定され、まもなく国会提出されます。一次補正を含む緊急経済対策と同等の規模で合わせれば事業規模で230兆円を超える空前絶後の対策事業となりました。いわゆる真水と呼ばれる国費は67兆円程度ですが、金融支援の原資となる財政投融資も加えれば財政支出総額は120兆円を超えます。一次補正で対応不足と言われた各方面に手厚い対応が可能となりました。事業所得以外で申告していたフリーランスの方全てをカバーする100万円の持続化給付金、個人事業主100万、資本金10億円以下の中小中堅企業への持続化給付金200万に加え、家賃補助として半年間で最大600万円が支給されます。さらにひとり親の児童扶養手当支給対象の家庭には第1子5万円、第2子以降に3万円、加えてその家庭の所得が下がっていればさらに5万円が支給されます。つまり親1人子2人の家庭を想定すれば、一律10万円給付と合わせ43万円が 支給されることになります。

 またコロナ患者の対応をしている医師や看護師等には慰労金として20万円が支払われます。コロナ病床には空いているベッドに対しても支給されます。また介護の現場でコロナへの対応を強いられる介護職 員に対しても同じく20万が支払われます。あわせて 朗報は雇用調整助成金の大幅引き上げです。今ま で月換算18万3千円の支給額は33万円と大幅に引き上げられました。世界最高レベルの支給のイギリスと同等となりました。

 月曜日に政調会長から連絡があり、ポストコロナを見据えて政策提言をしたいとの要請がありました。かねてから新聞各紙あるいはセミナー等でポストコロナや経済安全保障について持論を述べてきました。 いい機会ですので、それも踏まえて自民党としての提言案に仕上げていこうと思います。コロナを通じてあぶりだされた日本の脆弱性を徹底的に検証し、未来に備える。コロナと言う長いトンネルを抜けた後にどういう世界の枠組みが広がっていくのか。コロナ後のあらまほしき世界の姿はどうあるべきか、その中で日本の果たすべき役割は、またその役割を果たす日本の存在感はどうやって確保していくべきか等です。

 

今週の出来事「3高+1?」

 欧米に比べてコロナの死者数が圧倒的に低いことを海外はジャパンズミラクルと呼んでいます。皆保険制度や医療現場の質の高さ、自発的に協力する国民性、クラスターを潰していった日本型対応等その原因が分析されていますが、注目されているのは衛生意識の高い日本の生活様式です。毎日の入浴が当たり前は世界標準ではありません。

 コロナ後にはもてる男の要素に「毎日の入浴」が入りそうです。私のいとこは風呂嫌いで学生時代ひと月も入らず過ごしていました。

 良かったね今じゃなくて、結婚できて(笑)