国会リポート 第351号

甘利明本人が綴る、毎月2回のコラムです。国政で今何が起きているのか解りやすく解説しています。

総 覧

 先般、韓国側特別使節団が電撃的に北朝鮮を訪問し、金正恩委員長と初めて4時間にわたる話し合いを持ちました。その結果が3月6日韓国大統領府から発表されました。6項目にわたる合意文書は合意のあった過去2回の失敗を検証しながら進める必要があります。

 1項目目に掲げられている南北首脳会談については、初めて南北境界線の韓国側である板門店平和の家で4月末に開催をされる運びとなりました。金正恩委員長が初めて北朝鮮の指導者として韓国側に足を踏み入れるのも異例ですが、それに絆(ほだ)されて人道援助を再開という様な事になれば、前回、前々回失敗した轍を踏むことになりかねません。人道援助の再開は慎重の上にも慎重を期さねばなりません。前回と前々回あわせて人道援助25億ドル以上を食い逃げされ、それが核とミサイルの開発に投入をされたと見られています。つまり、人道援助は核ミサイル開発援助になってしまったということです。

 3項目目には、北朝鮮に対する軍事的脅威が解消されることを核放棄の前提に挙げていますが、今まで在韓米軍の撤退をその論拠としていたことは極めて危険な落とし穴です。

  加えて5項目目に、対話が持続する間は核実験や弾道ミサイルの試験発射は行わないとしていますが、北朝鮮の言う「戦略的な挑発」とは大陸間をまたぐ長射程のものを指すのかもしれません。アメリカに届くICBMだけ試験発射を行わず、日本周辺諸国に届く短中射程のミサイルは行うともとれます。アメリカとそれ以外の国の分断作戦との懸念もあります。

  更には、あえて試験発射としているのは訓練発射と区別しているようにも思われます。つまり、発射した後、あれは試験発射ではなく訓練発射だったと言う詭弁です。さらに北朝鮮は核兵器を韓国には使用しないと表明しています。ならばそれ以外には留保しているということなのか。30代とは思われぬ金正恩委員長の老獪さに文在寅大統領が手玉に取られぬことを願うばかりです。

 トランプ大統領は報告に来た韓国代表に対し、5月までに会談する用意があると答えました。(警戒したホワイトハウスのスタッフの懸念を受け後刻「具体的な行動が大前提」と訂正しました。)それを踏まえて4月中に安倍総理が訪米する意向が表明されましたが、日米で6項目の合意文書の行間をしっかり読んで対応を協議し、米朝会談に臨むのであろうと思われます。猪突猛進のトランプ大統領と大局的戦略的思考の安倍総理がコラボレートすることが隘路を見つける最善の方法と思われます。

 さて、国会は森友問題で再度紛糾しています。決裁済みの行政文書が一部書換えられて国会に原本として提出をされました。実はそれは決裁後に書換えられた文書という事が発覚しました。両文書を比較してみると、書換えする意味がない内容になっています。意味のない書き換えをなぜしたのか。誰がどういう意図でそういう指示をしたのか。

 財務省の最高責任者たる大臣の務めは、事実関係を解明し再発防止策を図ることです。書換え行為の蚊帳の外におかれながら懸命に事実関係を説明している麻生大臣には気の毒なことではありますが、引き続き真摯な対応をされることを望んでいます。

 

 

今週の出来事「そうだ ろうか ?」

 いよいよ、待ちに待った(笑)花粉症シーズンがやってきました。花粉症歴35年の私にとっては、春は楽しい季節ではありません。

 大臣の会見中にくしゃみが何十発も止まらず、会見が中止になったこともありました。

 減感作治療から神経節ブロック治療、はては外科的対応までありとあらゆることをやった結果、全ては無意味だと悟った現在は、薬に頼っています。いろんな薬を試して昨今はアレロック(朝)とシングレア(夜)を組み合わせて飲んでいます。いくらか楽になりました。

 医者をしている娘に「この組み合わせが良いみたいだよ。最近は少し楽になったよ。」

 すると、娘の冷たい一言。

「老化が進むとアレルギー症状は軽くなるのよ。」

『ろうか?、そうか・・・(悲)』