国会リポート 第318号

甘利明本人が綴る、毎月2回のコラムです。国政で今何が起きているのか解りやすく解説しています。

総 覧

 東京五輪のシンボルマークであるエンブレムが取り下げの事態に至りました。特許と違って意匠(デザイン)や商標(トレードマーク)は明確に権利侵害を識別する絶対的基準がありません。もちろん特許も含めて最終決着は裁判によるものですが、意匠や商標は模倣の判断が裁定者の主観に頼らざるをえないところです。

加えてその商品をイメージさせるものでも登録したほうが勝ちという部分があります。商標を例に取れば中国では「コシヒカリ」が「KOSHIHIKARI」として登録され、「松阪牛」が「松坂牛」として登録され、別種のものであるのに堂々と販売されています。まして意匠(デザイン)はデザイナーに蓄積された情報の中からイメージが作られるだけに類似の意匠が常にトラブルになっている世界です。最近はGoogleにデザイン検索のエンジンもありますから、選考する際には検索エンジンで検出されたものを全て提示し、数名の専門家による判断を加える行程が必要かと思います。

 佐野研二郎氏の場合は、スタッフが言い逃れの出来ないデッドコピーを提案した過去が発覚したため、本人の主張に信頼性が付与されなかったのかと思いますが、この事件で日本中のデザイナーが肝を冷やしたであろうことは類似性を指摘された途端、一夜にして名声を失うリスクがある仕事だということではないでしょうか。事件の真相はわかりかねますが世界を目指す若手デザイナーがこの事件によって萎縮してしまわないことを願っています。本来オリンピックは民意を高揚し、経済を活性化させるものです。「色々あったけど、ベストな大会になった」と言われるように前向きな取り組みをしていきたいものです。

 ポストオリンピックの課題はこれを「宴の後」にしてしまわないことです。オリンピックまでに色々なプランを目白押しで推進していき、オリンピックが終わった途端、潮が引いたような状態にしてはならないということです。成長戦略の柱の一つ、改革2020は自動走行システムや水素社会や再生医療の実用化等、近未来の技術をオリンピックまでにショーケースとして国内外の来訪者に提示し、2020年以降の日本の未来像を実確認してもらい、ポストオリンピックをスタートフロムオリンピックに変えていくための取り組みです。オリンピックを目指して投資を含めたインバウンドが拡大し、オリンピック後は日本の未来像がさらなるインバウンドを呼びこむ。そのためのショーケースに東京オリンピック・パラリンピックをしていくということです。

 インバウンドといえば先日ある外国人から、日本は中東に圧倒的資金供給をしながら、それを原資とした中東マネーの呼び込みはゼロで何の痛痒も感じていないという指摘がありました。要は石油や天然ガスを毎年何十兆も買い入れながら、それが原資の中東の投資ファンドから投資を呼び込んでいないという指摘です。欧米諸国は日本ほど金をつぎ込んでいないにもかかわらず、中東からの投資を呼びこむことに相当な政治的プレッシャーを掛けている。日本はお人好しだという指摘でした。日本の工業製品や医療や旅館をはじめとするサービスは圧倒的評価を得ているにもかかわらず、その展開が乏しいという指摘も受けました。もちろん私も昨年中東を廻り、医療等の国際展開を日本のドクターともども手掛けてきました。振り返れば東日本大震災の際に中東から天然ガスの供給を要請に日本の電力会社が赴き、融通をしてくれたことに大感激をしましたが、アメリカのシェールガス革命による中東ガスのだぶつきをむしろ日本が救ってあげたという指摘もありました。今後は原油や天然ガスは売り手市場ではなく買い手市場だという認識も必要なのでしょう。イスラム金融は利ざやを抜き取るファンドではなく、長期投資型ファンドであることは内閣府のアドバイザーをして頂いている原丈人さんからもかねてから言われていたことです。

今週の出来事「お風呂にします?それとも?」

「今日のお帰りは何時頃ですか?」

毎日掛けられるこの言葉は家内からではなく、番記者の人達からのものです。女性記者から掛けられようものなら

「ご飯にします?お風呂にします?」

と錯覚しそう。家内でもないのに何でいちいち帰宅時間を連絡しなきゃいけないのかと思いますが、昔の番記者は辛抱強く何時間でも表で待っていましたが、昨今は効率良く待つために予め帰宅時間を聞いているようです。一度帰宅時間を連絡してしまうと会合が遅くなった時にこっちがそわそわします。

でもそんな番記者さん方10数名が先日、私の誕生祝いを盛大に開いてくれました。席に着いたら周りは女性記者ばかり。(記者間の業界用語ではこれを「山拓シフト」と言うそうです。)

その気配り、記事に反映してくれないかなぁ(笑)。


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