国会リポート 第302号

甘利明本人が綴る、毎月2回のコラムです。国政で今何が起きているのか解りやすく解説しています。

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民主党が「民主党政権の3年3ヶ月で実質GDPは5%伸びたが、安倍政権では1.7%しか伸びていない。我々の時代の方が経済成長した。」と主張しています。承知の上で選挙戦術上で言っているのだとは思いますが、本当にそう信じているのだとしたら、そうとうな経済音痴です。

デフレ下で物価が下がり続ける中、名目成長率はゼロでも、物価下落した分だけ差し引くと実質はプラスになるというマジックです。実質がプラス、名目はさらにプラスというのが健全な経済成長です。デフレは経済が縮小していく病気で、ほっておけば経済を死に至らしめる重大な疾病です。成長しなくても物価が下落したから成長したことになる、と自慢するようではデフレであることを自慢するのと同じです。

20年前、530兆円あった日本の経済規模は、安倍政権交代前までに470兆円までに縮小しました。しかし、物価が下がり続ける分だけ、実質は成長したとカウントされるわけです。実質が成長し、2%前後の弱インフレ分を足した分だけ名目が成長するというのが、健康な経済の姿です。20年間で10%強(60兆円)縮小してしまった経済を安倍内閣は、1年10ヶ月で2.7%(13兆円)拡大いたしました。デフレ下で物価が下った分だけ成長したと言っているのは、病気が進行して体重が減ったのにダイエットに成功しました、と言っているのと等しい話です。

安倍政権の最大の課題は、20年近く続いたデフレ経済から脱却をし、弱インフレの成長軌道に転じていかせることです。実質成長率2%、名目成長率3%の成長経済こそ、目指すべき健康的な経済成長の姿です。この20年間でほとんどの先進国は経済規模を2倍にいたしました。一人日本だけが一割以上、その規模を縮小させたのです。もちろん、自民党政権下でも民主党政権下でもデフレ脱却にトライをしてきましたが、高齢化と人口減少という制約要因もあり、成功しませんでした。満を持して登場した安倍内閣は、デフレからの脱却を最大の使命としています。大胆な金融緩和政策、機動的な財政運営政策、そして、かつてないような規制緩和や税制・特区制度を使った成長戦略。それらを組み合わせて目的を達成しようとトライしている最中です。

まず、企業業績を拡大する環境を作り、拡大した利益を賃金や下請け代金、設備投資に還元をしていく。それによって、経済環境をさらに好転させ、企業収益を上げていく。それを更なる賃金改善、下請け代金改善、設備投資増強に投じていく。それらのサイクルを回していくことによって経済が自動的に拡大していく好循環を作る。企業業績は過去最高値になりました。売上高利益率は、過去60年間で最高値を示しました。雇用者数は民主党政権下の3年3ヶ月では1万人しか増えませんでしたが、安倍政権の1年10ヶ月で、116万人増加をしました。野党は非正規雇用が増えただけ、と主張していますが、55歳未満の非正規と正規の増え方を比較してみれば一目瞭然、民主党政権下では非正規が正規化する数が、正規が非正規化してしまう数を下回っていましたが、安倍政権になるや、正規化する数が一貫して上回っているのです。

賃金も改善しつつあります。連合の調査によれば、春闘での賃金改善率は2.07%であり、これは15年ぶりの改善値と発表されました。課題は、それでも消費税増税分まで加味した物価上昇を超えていない、ということです。来年も再来年も企業業績の改善が賃金改善につながるよう、好循環を回していくことです。先般、政労使会議の席上、安倍総理は好循環が回っていくよう、来年の春闘でも賃上げを経団連に要請し、経団連会長は、業績の改善している企業は賃金改善に取り組むよう要請する、と発言をしました。

好循環が2巡、3巡していくことが腰折れしない経済を作る源です。それができるまで消費税再増税を延期したのです。ノーベル経済学賞受賞者クルーグマン教授は、ニューヨークタイムスに投稿した原稿の中で「安倍総理の消費税延期判断は、極めて適切な判断」、と評価をしました。日本経済再生はアベノミクスで。この道しかありません。

今週の出来事「細マッチョ!?」

3ヶ月で5キロ体重を減らすことに成功しました。1年前に入院したこともあってか、体調を心配して下さる人がいますが、実は定期健診で、カロリー過多による将来の成人病化を指摘され、一念発起してダイエットに取り組んでいます。

毎日40分ウォーキングをし、朝食は野菜ジュースだけ、昼食は豆腐と野菜サラダのみの生活を続けています。顔つきもシャープになったと好評価です。加えて、寝る前には腕立て伏せ40回×4セット。おかげで筋肉質の体型になりました。

 

『脱いでもスゴイんです。』(何をめざすの?(笑))