国会リポート 第295号

甘利明本人が綴る、毎月2回のコラムです。国政で今何が起きているのか解りやすく解説しています。

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お盆休みも終わり、永田町の関心は9月3日の内閣改造に向けて加速しています。改造幅は予測通り大幅となるようですが、女性登用を拡大するのかしないのか。目玉になる地方創生大臣と安全保障大臣は、誰が就任するのか。前日に行われる党三役人事なかんずく幹事長人事はどうなるのか。いろいろな憶測が飛び交っています。ぎりぎりまで総理が悩まれるところだと思います。

私自身の去就についても報道はなされていますが、総理が外に向けて公式に発言しているのは、菅官房長官の留任だけです。同一閣僚で一年八か月続いた内閣は戦後の最長記録ですが、それに見合って腰を据えた政策運営が出来たことは確かです。とにかく、この内閣は各閣僚が非常によく勉強していますし、自民党はさすがだと思うのは、年次の浅い初入閣の閣僚も見事な仕事ぶりでした。これほど答弁が安定していた内閣も稀であったと思います。しかし党内人事の停滞にも配慮しなければならず、総理の胸中も複雑かと推察いたします。

さて、4-6月の経済成長率は前期の駆け込み需要の反動もあり、予想通り大幅に下落しました。大事な点は、駆け込みの上昇分と反動の減少分を平準化して景気回復のトレンドを見ることが重要です。つまり、1-3月と4-6月を均してみるとその前の期、10-12月期よりプラスになっています。次の7-9月期は、民間予測では+4%台の成長と見込まれていますが、その後も堅調であることが期待されます。

ただし、注視していかなければならないのは、住宅需要の落ち込みと消費回復力の弱さです。家電製品の落ち込みは、週末に連続して台風が襲来したことが影をおとしていますが、個人消費に関する家電販売や百貨店売上等は、4月に大きく減少した後、持ち直しの動きが見られます。設備投資が落ちていますが、7月に発表された日銀短観では、設備投資計画は製造業で+10%と発表されていますから、期待は持てると思います。巷間300兆にも達した内部留保を賃金や下請け代金の改善に向けるべきだとの主張がありますが、300兆がそのまま現預金で残っているわけではなく、設備に置き換わっていることです。しかも、国内ではなく海外への設備投資です。

つまり、国内はデフレ環境でお金は使わないほど価値が上がり、海外は使わないと目減りする環境のため、現預金が海外の設備投資に使われたという点です。国内を弱インフレにし、現金は活用しないと目減りするという環境の中で、生産性の向上に資する設備投資を誘導するしくみを作ることです。生産性といえば、日本経済の7,8割を占めるサービス産業が諸外国に比べ生産性が低い点をどう改善するかです。

これはローカルアベノミクス、地域経済の活性化とも密接な関係を持ってきます。公共事業のクラウディングアウトから、人件費や資材費の高騰につながりつつある状況に鑑み、ローカルアベノミクスも単なる需要刺激策ではなく、供給側の生産性を引き上げることを通じて賃金を上昇させ、消費力の拡大への循環へと繋げることが肝要です。

地域経済の大層を占めるサービス産業の生産性向上は、日本政府にとって長年の課題でした。7年前、私が経済産業大臣の時に「サービス産業生産性協議会」を立ち上げ、この課題に取り組んできましたが、いまだ決定的施策は構築をされていません。製造業に比べ遅れているIT化はかねてより指摘されていることではありますが、内閣改造によりスタートする「まち・ひと・しごと創生本部」の最大課題になりそうです。

今週の出来事「次はMC?」

私が毎週ビデオ録りをしているテレビ番組は「何でも鑑定団」と「ダウンタウンDX」と「ドラゴンボール」ですが、その鑑定団から出演依頼が来ました。大方の予想は父親の集めていた骨董品でも出すんだろうと思われていたようですが、ご覧になった方はご承知の通り、楽天在籍時の田中将大投手のユニフォームにしました。マー君がプロ入り初完封をした時に着用していた物です。(鑑定額、何と200万)。

スタジオで意外だったのは無口なはずの石坂浩二さんがMCの今田耕司さんと同じくらい喋りまくっているのに、放送では全部カットされていること。私の喋りもその段になるのかと思いきや、かなりがそのまま使われていました。

毎回ゲストの出展品には当たり外れがありますが、私の回はみんな当たり、中でも刀剣愛好家垂涎の的、江戸後期の名工・清麿(きよまろ)の刀には700万の高額鑑定がつきました。

 

「う~ん。刀剣の宝石箱や~。」 あれは彦摩呂か。(笑)