国会リポート 第280号

甘利明本人が綴る、毎月2回のコラムです。国政で今何が起きているのか解りやすく解説しています。

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明けましておめでとうございます。昨年末にはお騒がせとご心配をお掛け致しました。おかげさまで最短期間で職務に復帰することが出来ました。

安倍政権も2年目に突入致します。今年も経済優先と総理は宣言をされております。アベノミクスの成長戦略実行の年になります。政権発足の前に9,000円を割っていた株価は16,000円になり、東証一部の時価総額は251兆円から458兆円へと増え、いわば日本の国富は200兆円増えた勘定になります。資産効果は消費の拡大を呼び、企業にとっては資産価値の拡大を通じて、金融の力になります。有効求人倍率は1年前の0.82から1.0へと上昇しました。10人の求職者に対して、職種を問わなければ10人分の仕事があるという勘定になります。昨年12月の日銀短観によれば企業の業況判断が大幅に改善し、中小企業の非製造業までプラスになったのは実に22年ぶりのことです。昨年の10~12月期と今年の1~3月期のGDP成長率は消費税への駆け込み需要もあって大幅に伸びると思います。問題は消費税増税以降の反動減とその先の成長力の回復です。

国会が24日に開会し、所信表明と代表質問が終われば昨年末編成した5.5兆円の補正予算質疑が始まります。4月からの消費税反動減にピンポイントに合わせて補正予算の出動を図ることが大事です。

今月中には成長戦略関連で政府として2つの決定を行います。1つは、昨年臨時国会で成立した産業競争力強化法を受け、具体策を実行するための実行計画を閣議決定することです。今後3年間になすべき具体的な方策を、どの大臣がいつまでに実行するというプランを閣議決定し、今国会に30本近い実施するための法案を提出することです。2つ目は年央に予定されている成長戦略の進化を図るための検討方針をこれまた1月中に日本経済再生本部決定をし、議論を開始し、年央改定に盛り込んでいく作業です。実行計画で言えば投資促進税制や研究開発税制はもとよりクラウドファンディングのための金融商品取引法改正案、育児休業給付を2分の1から3分の2に強化するための雇用保険法改正、総合科学技術会議の司令塔機能強化の機能強化のための内閣府設置法改正、日本版NIH法案、研究開発法人のための法案等々、30本近い法案が担当大臣を決定して提出されます。

一方、成長戦略の進化のための検討方針には多様な正社員の普及・拡大、株式会社を束ねる持株会社に倣って、医療法人や社会福祉法人を束ねる非営利型ホールディングカンパニーの制度、そして農業委員会・農業生産法人・農協のあり方、そして地方版成長戦略の構築等々があります。 
かつて数多ある成長戦略は策定されることをもってゴールとされました。アベノミクスの成長戦略は策定された時からがスタートです。その後実行がなされるまでの工程管理を厳しく行い、責任の所在もはっきりさせ、工程表通り進まない場合にはその理由の開示と成し遂げるための追加対策を求めます。

補正予算5.5兆円が新規国債を発行することなく税収の上振れや決算剰余金等をもって編成することが出来ましたし、来年度予算は成長力強化策を取りながらプライマリーバランスの改善を当初目標の4兆円から5.2兆円へと改善幅を拡大することが出来ました。財政再建と経済成長の両立を図る予算編成とすることが出来ました。

薬価の市場調査による価格改定分を診療報酬改定分として上乗せするという伝統から脱却し、個々に実態に沿った改定をするということに致しましたし、リーマンショックの時に特別加算した地方交付税は平時モードにフェードアウトを始めました。聖域なく厳しい査定をする中で経済の競争力に関わることや日本の安心安全に係る部分にはしっかりと予算を確保するというメリハリをつけることが出来たと思います。

今週の出来事「Are you a 二枚目?」

年明け自民党本部の仕事始め式に出席した際、エレベーターで小池百合子議員と一緒になりました。小池議員から

「大臣、お体はいかがですか?」

と優しい言葉をかけられ、

「おかげさまで体調は万全です。でも滑舌がまだ9割の回復ですね。なんせ舌を切っているものですから舌足らず状態です。」

と答えると、

「いいじゃない。2枚あるんだから。」

と返されました。 

本当に優しい人なの?そういえば、昔はよく言われたなあ。「2枚目って。」(笑) 

細川元総理が都知事選へ出馬だそうです。そういえば、参議院議員から県知事になったかと思えばまた国政へと気持ちが変わり、総理を8ヶ月で投げ出した後には、余生は煩わしい浮世を離れて陶芸家として隠遁生活を送る、としたはずですが・・・。 

「殿、ご乱心!」 

う~ん。殿様の気まぐれは常人には理解できない。