国会リポート 臨時号

甘利明本人が綴る、毎月2回のコラムです。国政で今何がおきているのか解りやすく解説しています。

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「国会は、いつから吉本興業 (大阪の芸人会社) の出先になったの?」

内閣不信任案の際の茶番劇をご覧になった地元の方々から掛けられた言葉です。

不信任案自体は極めて真面目な理由で提出されました。と言うのも、菅総理は今国会を延長せず会期末の 6月 22日で閉じ、その後 9月までは開かないという方針が、民主党安住淳国対委員長を通じて非公式に各党国対委員長に伝えられたからです。

がれき除去は 15%しか進んでおらず、仮設住宅建設も阪神淡路大震災に比べ圧倒的に遅れ、義援金も一部だけ配られ手付かず状態。こんな状態のまま国会を閉じ、9月まで被災地を放り出したままという事では、「いかに忍耐強い東北の人とて我慢の限界が来る!」 そう訴え、通年国会の必要性を申し入れたにもかかわらず、一顧だにしないのです。そのため、リーダーを代えてくれという事になったわけです。

党首討論で「菅総理では信頼できない!」と、谷垣総裁が最後通牒を突きつけ、その後不信任案を提出する段取りが総理に伝わった途端、「要望があれば、何ヶ月でも年内いっぱいでもこの会期を延長します。」と、菅総理お得意の『その場しのぎ・思いつき発言』で乗り切ろうとする始末。まさに、この『その場しのぎ発言』の連続が野党だけでなく与党内からも不信を買っているという事に気が付いていません。

仮設住宅の建設が圧倒的に遅れていると指摘されると「お盆までには全員に入居してもらいます。」と、その場しのぎの答弁をし、後で大畠国土交通大臣が「そんな事ができるなら、私の方から発表しています!」と、総理の軽率発言に釘を刺しました。

党内の造反者の数が不信任案可決に届きそうになると、慌ててすぐにでも辞任するようなその場しのぎの発言をし、否決されればそんな発言などどこ吹く風。一事が万事、その場だけしのげれば「後は野となれ山となれ」という態度が、野党のみならず与党の不信まで買っているわけです。

不信任案否決後、閣内から「遅くても夏前には辞任すべき。」という発言が出てくる事自体異常ではありますが、自民党は今日まで復旧・復興のための大連立を頭から否定した事はありません。指揮命令系統を一元化し、責任体制を明確にする事を前提条件として求めてきたにもかかわらず、明確な回答が総理からなかった事が大連立を断った理由なのです。

責任は引き受けてもらいたいけれど権限は渡したくない。そんな大連立が成功するはずはありません。ここ一両日で、自民・民主双方で新しい総理のもとに期限を切り目的を限定し大連立を組む、という構想が出始めました。

前提条件さえ満たされれば我々にはいつでも連立を組む用意があるのです。