国会リポート 臨時号

甘利明本人が綴る、毎月2回のコラムです。国政で今何がおきているのか解りやすく解説しています。

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可決成立と思われた菅内閣不信任案は、土壇場で民主党の腰砕けとなりました。

前夜、民主党小沢派の会合には七十数名が集まり、不信任案に全員賛成する意志決定がなされました。原口前総務相を始め、何人かはテレビカメラに向かってあからさまに菅総理の不備を糾弾しました。鳩山由紀夫前総理も不信任案に賛成する意志表示をカメラの前で行い、小沢グループに加え、鳩山グループからも 20名超が加わるという見通しが定かになりました。

翌朝、永田町には『確実に不信任案が通る』ということで、菅総理を採決の前に辞任させようと説得が始まるというニュースが流れました。

ところが、午前中菅総理と会談した鳩山氏は条件付で菅総理の続投を認めてしまいました。鳩山氏の発言が日替わりで二転三転するのはいつものことでありますが、最近は朝昼晩で二転三転します。その後の民主党議員総会では、示し合わせた様に鳩山、原口と提灯持ち発言が続き、いつの間にか菅続投が決まってしまいました。

本会議採決後の帰りのエレベーターで顔見知りの民主党長老議員と一緒になりました。

「一体どうなってんですか?」

「これが民主党なんです。雰囲気が変わるとサッとそっちに流れてしまう。これが民主党なんです(笑)」

と、自嘲めいて苦笑い。

ただし火種が残るのは、菅・鳩山の合意の受け止め方。鳩山氏はカメラの前で、「二次補正予算の目処がついた時に菅総理は退任すると合意しましたが、それは成立した時という意味ではありません。それより前を指します。」と、明言しました。つまり、提出された時を意味するわけです。菅総理にそんな気はさらさらなく、辞めるのは『震災対策に目処がついた時』で、目処がつくとは最低限任期いっぱいと思っています。鳩山氏が出張って来ると、必ず、わけの分からない事になるという歴史がまた一つ作られました。

談合腰砕けの中で、唯一評価されたのは松木けんこう議員で、堂々と白票 (不信任案賛成) を投じました。