国会リポート 第222号

甘利明本人が綴る、毎月2回のコラムです。国政で今何がおきているのか解りやすく解説しています。

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「とてもじゃないが、人前に出せるような状況にないので…。」分かりやすく言うと、こういう言い回しになります。

何の事かと言えば、民主党の平野博文国対委員長や輿石東幹事長が与野党会談やテレビ討論の中で国会会期を 4日間で終わらせる理由として各大臣の未熟さを理由とした釈明です。

正直といえば正直な話ですが、野田佳彦総理が「適材適所内閣」といった発言が虚しく響いてきます。

自民党が与党の時には、入閣して嬉しいのは官邸に呼び込まれる時だけ。翌日からは責任の重さをひしひしと感じ、憂鬱になり口数は少なくなります。

民主党の入閣者を見ていると、学芸会の主役にでもなったようにはしゃいで、正式な記者会見で個人的見解を無責任に披瀝し、騒動になると「個人的見解」を連発します。

記者会見等での大臣の発言は、口から出たら飲み込む事はできません。それが、政府の公式見解になるからです。まして、外国メディアにリリースしたものを個人的見解などと取り消す事はできませんし、そんな事が繰り返されると大臣発言その物が相手にされなくなります。

民主党の入閣者には、ぜひ重圧を感じて欲しいと思います。口から発せられた大臣の言葉は、即ち政府の意思であるという重圧を感じて頂きたいのです。

『野党と丁寧な話し合いと議論を尽くす』と発言してスタートした最初の国会の会期が 4日間ではさすがに乗り切れないと感ずるや、さしたる議論もなく突然 14日間延長を幹事長が提案し、つんぼさじきにおかれた国会対策の役員 3人が辞表を提出するという相変わらずのドタバタ劇が展開されています。

野田総理自身は人柄の良い、能力もそこそこ、と評価をしていただけに、民主党はトップの資質よりも党自体の体質に問題があるのではないかと思われます。

もちろん、自民党政権の時代にも党内のもめ事はありました。しかしそれは、権力闘争によるものであって、党の意思決定の不備によるものではありませんでした。

「とにかく物事が決まらない党です。」全省庁の役人から聞こえてくる愚痴です。

自民党は政策の意思決定をする際、政調会の担当部会で議論を重ね、了解が取れると政調会本部の会議にかかり、そこをクリアすると総務会で最終意思決定になります。3段階でそれぞれあらゆる議論に耐えられるものが党としての意思決定になります。決定された以上、全議員がそれをしっかりと支えていくという体制が出来上がります。

この 2年間の反省に立って民主党もかつて批判していたことを 3つ復活をさせました。

1点目は自民党に倣って党の政策調査会で政府の原案を事前審査をする事。

2点目は各省事務次官会議を復活させる事。

3点目は自民党政権時代に内閣の司令塔役であった経済財政諮問会議を復活させる事。

いずれも自民党のやり方を批判をして、その柱となっていたものを廃止し失敗して復活させたという事です。

「官僚主導に見えるから」と事務次官会議を廃止したお陰で震災対策が各省連携がとれず遅れに遅れた事は周知の通りです。しかし、復活させるならせめて主催者は事務方ではなく政務の官房副長官にするぐらいの事はやって欲しかったと思います。

また、まったく機能しなかった国家戦略会議に変わって自民党方式の経済財政諮問会議を設置するならば、この会議に対する罵詈雑言は訂正してからにして頂きたいと思います。

政権交代する時には変える事の勇気は誰でも持ちますが、良いものは引き継いでいくという勇気こそ本当の勇気だと思います。

 

今週の出来事「目指せ、日本チャンピオン!

 

日本プロボクシング協会公認の東洋・太平洋タイトルマッチが、アメリカ軍による東日本大震災救援活動「トモダチ作戦」への感謝の意味も込めて、米軍キャンプ座間にて行われました。

基地内のフィットネスセンターは日米ならびに環太平洋大使館関係者で熱気ムンムン。式典で元世界チャンピオンの長谷川穂積選手とリングに上がった私の第一声は「始めにお断りしておきますが今日は私の試合はありません (笑) …。」館内がドッと沸きました。

私の試合?2年以内にありますよ!今度はノックアウトしなきゃ!!