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「問題発言する大臣ばかりで、攻める方としてはやりがいがあるでしょう?」
参議院の国対 (国会対策委員会) 幹部に話しかけると、「いやぁ、不適格な大臣が多すぎて、誰から問責決議にかけたら良いのか分からなくなっちゃいますよ。まず全大臣の事業仕分けからやらなくちゃ。」と、苦笑いする始末。
そういえば、民主党政権の唯一の看板である事業仕分けも次第にメッキが剥げてきました。出席していた民間委員から以前より伝わってきていた事ですが、蓮舫大臣を始め、民主党仕分け委員の人達には、財務省から個別案件ごとに発言のポイントなるペーパーが渡され、それを自分流にアレンジしてテレビカメラに向って読み上げていただけというのが仕分けの真相です。昨年の自民党が途中まで作った予算案を仕分けするのは良いとしても、今年に入って自分たちが作ったものを自分たちで「けしからん!」と言っている様は、およそ滑稽です。
『劇団ひとり』ならぬ『劇団ひとり芝居』とでも看板をかけられたらどうでしょうか。ましてや、蓮舫大臣本人が出席した閣議で決定したものを、その後に自らけしからんとおっしゃるのは、笑えない漫画です。
以前の号でも指摘しましたが、この政権の最大の問題は、政府与党としての自覚と責任つまりあらゆる事態の責めは政府が負わなければならないという覚悟がないという事です。
覚悟があればすべての事態を想定し、すべての事案にシミュレーションをかけます。あらゆる事態を想定し、先取りして対処方針を確立します。それができないので、すべてが後手々々にまわり、前政権の責任にしたり、行政の責任にしたりする見苦しい事態が続くのです。
一度「すべての責任は政府にあります。すべての責任は我々が取ります。誰のせいにもしません」と、宣言をしてしまって、内閣全体、与党全体で背水の陣を敷かれたらいかがでしょうか。そうすれば、個別案件ごとに綿密なシミュレーションをして、先取りした対処方針が個々の案件ごとに出来上がってくるのではないかと思います。
中国に進出している日本企業の関係者によると、中国漁船衝突事件が起きた時に中国全土から日本語の一流通訳が一人残らず消えてしまったという話です。
真相は中国政府によって中国全土の一流日本語通訳が北京に召集を受け、日本の新聞・テレビ・ラジオ・雑誌、あらゆるメディアの反応を分析し、日本政府の対応をシミュレーションしたそうです。千人規模の日本語の達人を動員し、日本の今後の対応を読みきった上で、次々と強硬手段に打って出たわけです。
それに比べて、薄っぺらな決意と見せかけの覚悟しか持たない民主党政府は、早々とその先の行動を中国側に見透かされてしまったという事です。
生半可な気持ちで外交や安全保障に触れると大火傷を負います。
10年前の中国は、日本の三分の一の経済規模、10年後の今日は日本と同等、さらに 10年後の中国は元高も考慮に入れれば日本の 3倍規模になると言われています。それに従って二桁拡大を続ける軍事予算も今の 3倍以上になるはずです。一連の行動で軍治覇権国たる位置付けが世界にはっきり示された中国と向かい合う際には国際世論を味方につけるという事を常に心がけていかなければなりません。
そして、領土問題は必ず第三国、なかんずくアメリカを巻き込んで事にあたらなければ、必ず軍治・経済恫喝の餌食になります。