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テレビ報道は民主党代表選一色になっています。
小沢一郎氏が出馬を最終確定した翌日の新聞の社説には「談合で決めるよりはマシ」というタイトルが載っていました。マスコミとしても選挙に至るまでの密室ドタバタ劇には辟易としていたようです。
小沢氏が出馬表明をする 1週間ほど前にあるルートを通じて「ナベツネ (読売新聞社渡邉恒雄社主) さんへ小沢さん本人から出馬の決意を伝えたらしいですよ」という話が伝わってきました。
当初、民主党関係者はポスト要求のためのブラフでしかないと思っていたようですが、小沢氏の腹を読みきれていないようでした。
小沢氏が幹事長当時の民主党の資金の使い方を現執行部が詳細に検証しているという事が我慢ならなかったのではないでしょうか。枝野幹事長や仙谷官房長官の更迭を求めたという話も案外噂だけではなさそうです。
そもそも、3ヶ月前に「あなたも私も政治資金疑惑を持たれているわけですから、お互いが身を引く事によって民主党に信頼を取り戻そうではないですか!」と言って小沢氏を引き摺り下ろして自身も辞任した鳩山氏が、政治資金の問題が何の解決もしていないのに、これからは鳩山・菅・小沢、三人のトロイカ体制で行きましょうと提案をするんですから呆れて物も言えませんが、呼びかけられた菅総理も「基本的には賛成です」と返答をするんですからもはや地球人の発想では計り知れない政党となってしまいました。
日本国存亡の危機の間に長期の政治空白を作るわけですから、相当な自覚をしてもらわなければなりません。「自民党だって権力闘争がある間は政治空白を作ったじゃないか。」という言葉はこの事態とはかけ離れていると思います。
と言うのも、自民党時代は政治と行政が密接な連携を敷いていましたので、政治空白と言われる間も政府の意を受けた官僚組織による、言わば自動操縦装置により巡航速度が保てたわけです。
一方、政治主導の呪縛から逃れられない民主党は、各省庁の官僚たちを思考停止状態に追い込んでしまっています。『良かれと提言したり諫言したりしようものなら官僚主導だと怒鳴られるだけだから、大臣から指示のあった事以外は一切何もしないでおこう。』まさに霞ヶ関全体がモチベーションを失墜し、『指示待ち官庁』に成り下がってしまいました。
『部下の言うことは一切信用できない。』と思っている社長が率いる会社が良い業績を上げられるはずがありません。政治主導とは官僚に畏怖・畏敬の念を持たれながら、大臣が先頭に立って進んで行くことだという事を民主党政権には肝に銘じてもらいたいと思います。
5兆1千億円も払っている国家公務員の人件費が無駄にならぬよう、官僚の能力やデータや経験を自由自在に活用していくリーダーシップこそ、政治主導の本質なのです。
菅総理の演説は「雇用を通じて景気回復を図る」というもの。小沢氏のそれは「内需主導を推進して景気を回復させる」というもの。両方とも、ピント外れの経済対策です。
サプライサイドを元気にしてこそ雇用が拡大し経済が回復するという事、成長センターたる東アジアの外需を取り入れてこそ3~4%の経済成長が見通せる事、日本経済をどう成長路線に導いていくか、その時の内需はどう作り、外需はどう作り、外需と内需との関係はどうするか等々、経済のグランドデザインをしっかりと描くことが、今求められています。
経済音痴の民主党に任せたままでは、日本国は 5年と持ちません。