国会リポート 第185号

甘利明本人が綴る、毎月2回のコラムです。国政で今何がおきているのか解りやすく解説しています。

総 覧

「救急病院の夜間救急の実情を、その目で見て欲しい」というドクターからの要請に応えて、夕刻から翌朝まで実態を見聞させて頂きました。

夜8時に病院に入ると、白衣に着替え、救急車が到着する度に医師の後を付いてまわります。患者や家族の了解が得られた場合には、治療室まで同行をさせて頂きました。午前1時過ぎには仮眠室に入りますが、ほぼ 1~2時間おきに到着する救急車とともに叩き起こされる医師と一緒に私も飛び起きて付いていきます。

当日は、大学病院に回さなければならないほどの重篤患者は運ばれて来ませんでしたが、頭を 8針縫う転倒事故患者の縫合手術も当事者の同意を得て遠巻きに見学させて頂きました。

10回ほど駆けつけた救急車の多くは腹痛や火傷の患者でした。リピーターの患者も多く、原因究明と治療のために入院を勧める医師の助言を振り切り、痛みが治まると帰ってしまう患者も多くいます。そうした人は、その後、病院の検査も受けず、また救急車で運ばれて来る例が多いそうです。

夜間、10人前後の患者に対応するために、複数のドクター、数名の看護師、そして医療事務職員が夜中中待機しています。営業的には赤字の連続です。夜間救急から撤退する病院が続出する中、日本の夜間救急医療は医療関係者の使命感と犠牲の上に成り立っている事を痛感致しました。

アメリカのように金を払えば払った分だけ高度医療が受けられる方式が良いのか、低廉な料金で万人が最高度の医療を平等に受けられるのが良いのか、問われれば後者の支持が圧倒的だと思います。ならば、それをカバーするための財政基盤を確保しなければなりません。消費税を引き上げ、全額を医療・介護・年金等、社会保障に限定する目的税化は、ぜひ必要だと認識を新たにしました。

民主党の政権公約、子ども手当ては平成23年度から満額支給になります。総額 5兆3千億円は日本の防衛費 4兆7千億を超え、文部科学予算総額 5兆円をも凌駕します。両親に子ども手当てを支給しながら子供の給食費が滞納されるなどという事がないようにして欲しいものです。

子ども手当てを使った里親ビジネスなるものが良からぬ人達を中心に画策されていると聞きます。日本に働きに来ている外国人は、母国に残してきた子供達に 1人当たり毎月 2万6千円ずつ支給される事が決まっています。国に子供を 10人持っていると主張されても、地方自治体には本国に確認する術がありませんし、そもそも日本のような正確な戸籍制度がない国も多々あります。日本に働きに来ている外国人の手続きを代行し、上前をはねるビジネスが横行するのではないかと懸念されています。

その一方で日本に子供達を残し、海外に赴任している親には子ども手当てが支給をされないというのも理解に苦しむ事です。最も支援を差し伸べる必要がある養護施設に入っている子供達にも支給はされません。

そんな事なら、給食費を学校に支給し、保育料や幼児教育費を保育所・幼稚園に直接給付すれば、遥かに少ない予算で子育て支援は実現できますし、残りの費用の一部でも医療に向ければ大抵の懸案事項は改善されるはずです。

「事業仕分けは民主党のマニフェスト政策にこそしてもらいたい」小泉進次郎議員の内閣委員会に於ける指摘こそ、鳩山政権は真摯に受け止めてもらいたいと思います。

世界で一番 CO2 排出抑制に努力し、成果を挙げている日本が、更に世界で一番厳しい目標を掲げるために、企業の海外移転が水面下で驚くほど進んでいます。

先日も、ある中堅企業の社長が「国内での工場建設のプランを変更し、東南アジアに建設する事にしました。生き残る為には仕方がない選択です」と告白されました。

国内外に対する民主党政権の「ウケ狙い」が日本を崩壊に導いて行きます。

 

今週の出来事「B級グルメに C級オチ

 

久しぶりに『駅の立ち食いそば』を食べました。学生時代には随分お世話になっていましたがホント久しぶりです。相模大野駅で電車を待っている時、ふと、駅蕎麦特集をしていたテレビ番組を思い出し、視界に入った箱根そば (店名) に思わず飛び込んでしまいました。

店員は、私を見ると、「あれっ?」という顔をしましたが、すぐに注文した天玉そば (かき揚げ+生卵) が出て来ました。

予想以上に美味しくて、あっという間に半分ぐらい食べたところで電車が来てしまい、未練を残しつつ店を出ましたが「駅蕎麦、侮れないなぁ」という感想です。

…ここまで書いたところで、側にいた秘書が「今週のオチは『駅のそばより君のそば』ですか?」だって…いやだねぇ、表彰状あげたいぐらいカビの生えた親父ギャグ。

あ~ぁ、すっかり伸びちまったよ、このソバ。