国会リポート 第149号

甘利明本人が綴る、毎月2回のコラムです。国政で今何がおきているのか解りやすく解説しています。

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「あ~っ!やっちまったな~!!」

お笑い芸人のクール・ポコのセリフではありませんが、中川昭一財務大臣の酩酊映像を見たとき、衝撃と同時に何故こんな状態で会見に臨ませたんだろう、という思いが沸き起こりました。マスコミ会見に先立つロシア副首相との会談の時点で様子がおかしいことは確認されていた訳ですから、会見を延期して休ませるか代理の人間が会見に立つという判断をどうしてできなかったのかと悔やまれます。

こう言うと、民主党の方は「体調の管理は自己責任で、役人にそんな判断をさせる方が間違っている。」とおっしゃいます。本当にそうでしょうか?

私の言いたいのは危機管理の問題だという事です。日本を代表して G7 に臨むのは中川大臣であると同時に、チーム財務省であるからです。特に中川大臣は、風邪薬と腰痛の鎮痛剤の多量の飲み合わせで参議院本会議の質疑においても呂律が回らない状態が発生したという経緯がありますから、チーム財務省としては国益がかかる危機管理として捉えていく必要があったという事です。

この事は総理官邸の事務体制にも共通すると思います。総理官邸は、麻生総理自身が盟主として指導力を発揮する場であると同時に、舞台俳優たる麻生総理にどういう振り付けをするかという場でもあります。つまり、チーム官邸は麻生太郎という舞台役者の魅力を最大限に発揮させるための振り付けを行うチームでもあるのです。

2月 13日夜に安部晋三元総理、菅義偉選対副委員長ともども麻生総理と懇談したときに、事務スタッフの食事会 (情報交換会) を頻繁にやるように要請しました。常時情報を交換している中で、自然と情報収集・集約・整理体制が構築され、総理にいかに振り付けするかという体制も自然と出来上がっていくからです。

この件は、組閣後しばらくして、官邸に申し入れておりましたが実行されていないようでした。先般は、総理が手帳に書きとめておられましたので、もっと早く直接お話をしておけばよかったと悔やまれます。

中川大臣の辞任は残念ですが、やむを得ないことだと思いますし、政権への影響も深刻に受け止めなければなりません。与謝野大臣が後を受け 3つの要職 (財務大臣・金融大臣・諮問会議担当大臣) を担当したわけですが、諮問会議担当相として財務省や金融庁と密接に連絡を取り合いながら今日まで職務をこなしてきただけに、一番事情が分かっている人物だと思います。

予算の審議中でもあり、新たな人材を登用し対処するには時間がありません。総理ご自身、予算の成立までの臨時異例の措置とおっしゃっていますし、主要三閣僚兼務という事には無理もありますから、その時点で兼務を解くという事は当然でしょう。

マスコミから内閣改造の可能性をしばしば問われますが、それは総理の専権事項ですから一閣僚が言及する事ではありません。その上で一与党議員としてあえて問われるなら、与謝野改造の時点で全面改造に踏み切るのも選択肢の一つかと思います。

麻生総理の良さが発揮される以前に不測の事態の連続となってしまい、いかに麻生総理が素晴らしいメッセージを発信しようともバイアスがかかってしまう報道環境になってしまった現状を考えれば、視界をクリアにする手立てが必要であると思います。

何事にもめげない明るい性格の経済通が、大胆な政策を引っさげて金融・経済危機を乗り越えていくというのが本来のシナリオだったのですから。

 

今週の出来事「大好物!?

 

私は 5度入閣をさせて戴いておりますが、例年組閣名簿が発表されるや否や、議員会館にはお祝いの電話やお祝いの生花と共に、定番のお酒やビールが送られてきます。

ところが、最近はそれらに代わってワインが増えてきたものですから、不思議に思って贈り主に「何でワインなんですか?」とたずねてみると、「だってホームページに『好物、ワイン』と書いてあるじゃないですか。」との返答。秘書に問い合わせると、確かにそういう書き込みを入れておいた、との事でした。

そういえば以前、チョコチップメロンパンが好きと書いておいた時には、選挙のときに山のようにチョコチップメロンパンの差し入れがあり、しばらくは夢でうなされました。

今度更新する時には、次なる好物を書き足す事はもう決まっています。

「何ですかって?もちろん!『票』ですよ!」