総 覧
いよいよ今年も、あと 2~3日になりました。この一年は、私個人にとっても自民党にとっても、そして我が国にとってもまさに波乱万丈の一年でありました。
安倍総理は、体調の限界に至ったという事でありましたからともかく、余裕の感じられた福田総理まで突然の辞意表明をするとは想像できませんでした。背水の陣と言うよりも大いなる期待を担い、満を持して登壇した麻生総理はそのキャラクターを発揮する以前に、マスコミに足をすくわれてしまったという感が致します。
『批判を控える三ヶ月ルール』すなわち、政権発足後三ヶ月間は批判を控えるというルールがアメリカのマスコミにはありますが、日本のマスコミは政権を叩く象徴的ネタ探しに奔走し、見つけるや否やそれ以外の報道はまったく興味を持たないという状況にしばしば陥りますが、昨今は尋常ならざる状況です。
総理と面会後に必ず取材を受けますが、総理がどんなに前向きで建設的な発言をしようと、一切報道された事はありません。いかに、揚げ足取りの材料になるかしかマスコミには興味はないとすら思われます。
政治家にとっての重要な才能の一つに、臨機応変・当意即妙能力というものがあります。その点に関しては、麻生総理は国際的にすでに高い評価を得ています。最初の国連演説で同時通訳のシステムが不具合を起こし、国連事務局員が壇上に駆け上がりその事態を伝えた時に「Not Japanese Machinery?(日本の装置じゃないの?)」と発言し、スピーカーを通して場内に伝わった言葉に場内大爆笑、スタンディングオベーションまで出る状況は当意即妙能力が世界中に伝わった瞬間でした。
また、金融危機に関しアメリカの格付け会社が極めて不正確な格付けを投資銀行や証券化商品に付けていた事に関し、アメリカの代表的格付け会社『スタンダード & プアーズ』を称して「会社名はプアー・スタンダード (貧弱な基準) の間違いじゃないの?」とやって爆笑を誘ったりと、その場その場の状況を鋭く分析し、端的な一言で問題点を指摘する能力は各国首脳が高く評価するところでありますが、日本のマスコミは認めようとしたくないようです。
そういえば、優秀な商品であるにも関わらず日本のマスコミが評価しない際に状況を打破するやり方として『黒船効果方式』とう方法が取られます。海外のマーケットで評価を得て、海外メディアに取り上げられると慌てて日本のメディアが盲目的に追従するという特性を使って日本の市場に乗り込んでいくという方式です。業界では常識的になりつつある手法ですが、いかに日本のマスコミに主体性がないかを表す象徴です。
百年に一度の世界経済危機に対し、第一次・第二次補正、平成21年度予算並びに税制改正 (減税) と、矢継ぎ早に麻生内閣は景気・雇用対策をうちました。財政規模は12兆、事業規模で75兆の対策は、その規模においてもスピードにおいても世界一になっています。対策の財政規模はアメリカで言えば GDP比 1.1%、EUでも 1.5%、日本では 2% 強であります。金融機関へのダメージが最も少ない日本でのこの対応は評価されて然るべきです。
また、国際金融安定化への貢献に関しても世界から極めて高い評価を受けているのに、日本のマスコミはそれを報道しようとしません。現場の記者は良識的な者が多いのに、報道はそうでなくなるのは構造的な問題が内在していると思われます。