国会リポート 第135号

甘利明本人が綴る、毎月2回のコラムです。国政で今何がおきているのか解りやすく解説しています。

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福田総理が突然、辞意を表明いたしました。

前回の国会リポートでも触れましたが、8月 20日に前閣僚の慰労会を公邸で開いて頂いた時の福田総理の冒頭の挨拶「行けるところまでは頑張る」に、私はかなり違和感を覚えておりました。野党は「放り投げ辞任」と呼んでいますが、昨年の安倍総理辞任、そして今回の福田総理辞任と、一連の辞任劇は衆参両院のねじれ現象の中で、政策協議を実現するための方策の模索であったと思います。

衆議院と参議院で多数党が異なる、いわば衆参で意思決定をできる政権党が異なるというような異常な事態が、実は制度上は十分有り得る事態の一つだという事を前提に、どうコンセンサスを図っていくかのルールができていないという事に、その根源があると思われます。

初めての事態に、安倍総理は与野党党首会談を政策協議の場にしようとトライしましたが、これを拒否され健康上の問題と重なって断念しました。後を継いだ福田総理は、政策協議の手法として大連立を民主党小沢党首に働きかけました。おそらく小沢氏自身は受け入れようとしたのだと思いますが、予想外の党内からの猛反発に、徹底対決方式へと 180度転換してしまいました。与野党で意見の対立する重要な政策課題の合意を見出す手法を失った福田総理は、次なる総理に最後の手段としてコンセンサスを見出すための天の声を、国民から発してもらう事に託したかったのではないでしょうか。

衆参のマジョリティが同一政党に揃うまで、協議に応じないというのでは、勝つまで衆議院を解散し続けるか、参議院の選挙が来るまで何もしないか、しかありません。衆参マジョリティが異なるという事態が異常事態ではないという事を前提に、コンセンサスを得るという決断を与野党がすべきなのだと思います。

安倍総理辞任劇の時の陰謀説に続いて、福田総理辞任劇の際の禅譲説なる事実無根の誹謗中傷に、麻生幹事長はまたも晒されています。今回の改造後、麻生幹事長と話をした際「このまま順調に行くのがベストですが、支持率が落ちてきて立ち行かなくなった場合は、受けて立つ用意をしておいて下さい。」と、話しかけた私に対し「全力で総理を支えるが、仮にそうなった場合、総理はすんなり辞めるんだろうか。」と、つぶやいた事からも禅譲説が事実無根である事はハッキリしています。

ばら撒き派とか増税派とか上げ潮派とか、単純に色分けする事をワイドショーはしたいようですが、麻生さんが率いてきた麻生企業グループの歴史を見れば、彼の政策手法は何かが理解できます。炭鉱業でスタートしたその歴史は、やがて構造不況業種となり多くの同業者が倒産していく中、セメント業に転じ、やがて国際化の先取りで合弁事業化し、さらに経済のサービス化を先取りし、関連産業群を新しいフラッグシップとして創り上げて行く。現在では麻生セメントはグループ売り上げの 13%でしかない。つまり、時代の変化・環境の変化への対応力が今日へと繋がっています。

日本も景気後退の中で、財政再建と社会保障の安定を図っていかなければなりません。増税だけで切り抜けるとか、歳出カットだけで切り抜けるというような単純構図ではありません。麻生太郎氏の時代の変化・環境の変化への対応能力を今日の閉塞状況の打破に活用すべきだと思います。

 

今週の出来事「ほぼ (保母?) 50人

 

群馬県に 7つ目の地方後援会が出来ました。中小企業の方 50人ほどが集まって結成式をしてくださいました。

小渕内閣、福田内閣と 2人の群馬の総理に仕えた私の後援会を、その総理の地元で作っていただいたのはとても光栄です。

「群馬県人は惚れ込んだらとことん応援する気質ですから。」と言われ、感激もひとしおでした。

二次会の部屋を間違えて扉を開けたら、幼稚園の先生方のカラオケ大会でした。

「あっ!甘利大臣だ!」園長先生が真っ先に声をあげ、先生方の歓声に包まれ、拉致されてしまいました。

「あ~、政治家やってて良かった (笑)」