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いよいよ年度末を控え、ガソリン・軽油の暫定税率が期限切れを迎えます。
本則分とほぼ同額の暫定税率分はガソリンで1リッター 25 円、軽油で 17 円です。税率の継続が可決されないと、その分の課税が無効になりますので、暫定税率分だけ価格が下がります。ガソリン・軽油が安くなる事は消費者としてだけ考えればありがたい事ではありますが、その分だけ歳入欠陥が生じてしまいます。
予定していた事業を断念するか、赤字国債で埋めるかしかありません。徹底的に無駄を排除したとしても、とてもまかなえる金額ではありません。2 兆 6 千億円の歳入欠陥が生じると新設の道路建設はほぼストップしてしまいます。地方自治体の中には計画していた道路の発注を全て凍結してしまったところも出てきました。このまま事業発注が止まってしまうと建設関連中小企業の倒産が頻発する事が懸念されます。
野党は 「混乱を収拾する責任はすべて政府にある」 との主張ですが、今や半分の権力は野党が握っている訳でありますから、応分の責任は自覚しなくてはならないはずです。権限を持つという事は否応なしに責任も付いてくるという当たり前の理屈と向かい合わなければなりません。
さて、7 月の洞爺湖サミットを控え、数種の G8 大臣会合が開催されます。私が主催するのは 6 月の G8 エネルギー大臣会合です。洞爺湖サミットは環境サミットと言われるように、ポスト京都議定書の新しい枠組みを決めるための大事な一里塚となる会合です。1 月のダボス会議で福田総理は日本提案としてセクトラルアプローチによるエネルギー効率の改善を提唱し、先般の G20 で先進国・途上国の環境大臣の前に初めてセクトラルアプローチを日本として提案し、大きな話題となりました。
成長と環境の両立に極めて有効なアプローチであるだけに、理解されさえすれば支持は広がって行きます。全く新しい提案だけに裏を探って警戒する向きもありますが、真摯で粘り強い説得が求められます。NGO や一部マスコミの日本たたきの中を 『我こそが正義』 と信じて前進する姿はまさに、ローマ教会の前で 「それでも地球は回っている」 と叫ぶガリレオの思いですが、歴史が評価してくれる事を信じつつ経済産業省は私を先頭に、歯を食いしばって地道な努力を続けていきます。