国会リポート 第124号

甘利明本人が綴る、毎月2回のコラムです。国政で今何がおきているのか解りやすく解説しています。

総 覧

アメリカの低所得者向け住宅ローン、いわゆるサブプライムローンが焦げ付き、住宅バブル崩壊の様を呈しており、それに起因する金融不安が懸念されています。そこまでは、日本の土地バブルとその崩壊の過程に似通っていますが、日本の金融不安は国内にとどまっていましたが、アメリカのサブプライムローンは近年の金融工学と相まって、細分化して世界にリスク分散を図るという構図が、規模が大きくなるにつれて逆に世界に不安の拡散をしているという皮肉な結果となっています。

アメリカ政府は迅速に反応し、戻し減税を中心に16 兆円の景気対策を行うとともに、中央銀行は数次にわたる公定歩合引き下げを表明しました。併せてソブリン・ウェルス・ファンドも含めた投資金融による金融資本増強で第一波は切り抜けました。しかし日本の経験に鑑みれば、できるだけ迅速に金融機関への公的資金の注入が必要かと思われます。先般、東京で行われた G7、中央銀行総裁・財務大臣会合では、危機感を共有し協同行動をとるという事で一致しました。協調行動という表現でないという事は、国ごとにアレンジした行動をそれぞれがとるという事です。

さて、先日発表された速報値によれば、10 ~ 12 月の経済成長率は年率換算3.7% と極めて高い数字になりました。しかしこれは、この時期に輸出や企業の設備投資が集中した事によるものであり、今後発表される 1 ~ 3 月の数字はかなり減額されるおそれもありますので、ぬか喜びであってはならないと思います。日本の景気の牽引役は設備投資と輸出ですが、GDP の 57% を占める消費が弱含みで推移している事に問題があります。牽引役の企業輸出の為替設定は 106 円程度で設定されているといわれていますので、これを切ってくると輸出が GDP の牽引力にはなり得なくなります。

原油高ももちろん深刻な問題でありますが、それ以上に為替の乱高下は日本経済に影響を与えます。為替と株価と原油価格、そして建築基準法改正の影響の迅速な回復、これが当面する課題でありますが、為替の変動に弱いと言われている日本経済の克服策は海外生産比率を引き上げるなど、外貨の支払いと受取りをバランスさせる事です。現状は国内 80%、海外 20% の比率ですが、例えば、外国の比率が高まれば円が高くなろうと安くなろうと相殺される分が増えることになります。ただし、国内比率が低くなる分だけ雇用は失われますから、そうならないよう更なる外資の導入が併せて必要となります。

日本は世界一安く高速のブロードバンドが整備されていますし、治安の安全、食の安心も世界一です。投資環境にとって日本の利点も積極的にアピールすべきだと思います。

 

今週の出来事「戦略的フェミニスト?

 

G7のために来日した某国の女性閣僚は昨年私と対談した大臣でした。その大臣からは甘利大臣に会えるなら一日早く日本に行くけれども、会えないなら会議ギリギリに行くという申し入れがありました。

もちろん、快諾いたしまして、会議の前日 40 分ほど会談を行いました。日本との交流の促進について、先方からいくつかの提案や質問が来ました。

私からは、それらに答えた後、「それよりも私の興味は会う度にハツラツと綺麗になっていくあなたの秘訣を知りたいんですよ。」 と投げかけると、少女のように真っ赤になりながら (本当です) 「それを聞いただけで日本に来た甲斐がありました。」 と言いつつ会談は更に打ち解けた和やかな雰囲気になりました。帰り際には 「私の本当に親しい友人の甘利さん」 と声をかけられました。

誠意を尽くせば友人は増えていきますねぇ。

『誰だ!女性にだけ調子が良いだけだろうって言ってるのは!』

…結構、当たってたりして (笑)