国会リポート 第106号

甘利明本人が綴る、毎月2回のコラムです。国政で今何がおきているのか解りやすく解説しています。

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あけましておめでとうございます。昨年中は大変お世話になり本当にありがとうございました。お陰様で経済産業大臣に就任できましたが、万分の一かのご恩返しになればと嬉しく思っております。

『成長なくして日本の未来なし。』

安倍内閣のスローガンを担う経済閣僚として、まさに真価が問われる一年となります。

年明け早々 (1月 5日) から、アメリカ、EU、フィリピンと9 日間で世界一周をして参りました。成田から機中泊でロサンゼルスに着くや、そのまま世界問題評議会が開催される会場に向かい、日本経済と日米関係というテーマで講演いたしました。私の前の会の講演者は英国のブレア首相で、私の後の会の予定者はグティエレス米商務長官だそうで、日本の閣僚として十数年ぶりの講演は盛大な拍手を頂きました。

次にワシントンに飛び、グティエレス商務長官、ポールソン財務長官、ボドマンエネルギー長官、シュワブ USTR (米通商代表部) 代表、ボーカス上院議員、マイケルグリーン米戦略研究所日本部長と矢継ぎ早の会談や共同記者会見を行なってきました。ポールソン財務長官はアメリカ政府の大実力者ですが、「近々日本に行くから、その時にまたお会いしましょう」 「何かあればいつでも電話してください」 とおっしゃるもので、同行した加藤日本大使が 「彼が初対面の人間にあそこまで言うことはまずありません」 と驚いていました。

実は、在日シェーファー米大使が 「甘利大臣はサブスタンス (中身) のある政治家だから」 とアドバイスをしていてくれたから、という事のようです。ボドマン長官はアメリカのエネルギー政策の権威者で、次官以下が恐る恐る建議するという程存在感のある人ですが、どういう訳か私と相性が良く、日米エネルギー協力に合意し共同記者会見をした後、一階に降りて私の車のところまで寒い中を送ってきてくれました。「あの大長官が相手の車のところまで見送りに来た光景を初めて見ました」 と加藤大使。シュワブ通商代表とも WTO 交渉の具体的な話を進めることができました。

分刻みの交渉を終えるや、すぐにベルギーのブラッセルに飛び、朝着いてその日の夜の飛行機でフィリピンに発つまで EU 委員会のフェアホイゲン副委員長、マンデルソン通商担当委員 (それぞれ閣僚級)、セリエール欧州経団連会長と矢継ぎ早の会談、そして夜行便でフィリピンに入り、アセアン・東アジアの三つの会議に出席し日本の提案の紹介と賛同を取り付ける作業を行なって来ました。

昨日 (1月 19日) は大分県に出張し、私が進めている『地域興し運動』 の核となる九州版地域リーダーとの懇談をして来ました。国会日程が許せば来週はダボスでの WTO 閣僚会議に一泊三日 (残りは機中泊) で出席しなければなりません。

政治家は体が資本を痛感している毎日です。

 

今週の出来事「最速の伝統工芸品?!

 

外国に行く時に、会談相手とスモールプレゼントを交換するのが政治の世界の慣わしです。

外国の大臣と何度も会談を重ねますので、このお土産に結構気を使います (ちなみに公費では出ません)。携帯音楽機器とか複合筆記用具等を使用していましたが、日本らしさを出そうという事で、わが省が進めている新日本様式 (匠の技と近代感覚の融合したデザイン) の製品にする事にしました。

実は世界最高のスポーツカー、イタリアのフェラーリは何とケン・オクヤマ (本名:奥山清行さん) という日本人がデザインした車で、彼が出身地山形の工房と共同制作した伝統工芸品の小型鉄瓶をお土産に選びました。

各国の閣僚に手渡す際、「この伝統工芸品はフェラーリの日本人デザイナーがデザインした物です。だから時速 200 マイルでお湯が沸きます!」