国会リポート 第103号

甘利明本人が綴る、毎月2回のコラムです。国政で今何がおきているのか解りやすく解説しています。

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国会審議が一山越えたと思ったら、年末に向けて国際会議のラッシュです。

そういえば、労働大臣との違いは外国からの閣僚の訪問数がケタ違いに多いこと。多い日は一日に三組の会談をこなします。先日、インドネシアのマリ商業大臣 (極めて活発な女性大臣) と会談をした時に、「名前が似ているので親近感がありました。あなたが一人でお出でになると 『ア、マリ』 になるんですね。」 と始めたら、大喜び。スムーズな話し合いになったのは良いのですが、30 分の予定が相手が乗りすぎて 1 時間にもなってしまいました。

日本の政治家はとかくユーモア感覚がないと言われていますが、私を訪問した閣僚には認識を改めて帰ってもらいます。もちろん、こちらのペースに巻き込んで交渉を進める事が何よりも大切だからです。

労働大臣の時にも感じていましたが、衆議院と参議院を比べると、参議院の方が予算委員会や本会議での野党からの聞き苦しいヤジが多いとの印象は全閣僚に共通しています。良識の府なのにどうしてなんだろう?と思いますが、原因の一つは参議院の与党が余りにもおとなしすぎる所にあるようです。衆議院では野党がヤジを飛ばすと負けずに与党がやり込めます。しかし、参議院では与党は極めて物静かですので野党側のヤジだけが目立つ事になります。もう少し元気があっても良いと思うのですが…。しかし、それが参議院自民党の方針のようです。

ところで、政府の会議には議事録がそっくりそのまま公開される物とそうでない物とがあります。経済財政諮問会議は一字一句修正なしに公表される最たる物ですが、そうなると戦略的な話や本音の話はしづらくなるのも事実です。対外交渉の手の内を明かしてしまっては国益を損ねる事にもなるでしょう。閣僚間の議論がヒートアップすると思わず議事録が公開される事を忘れて手の内を披瀝してしまう事もありそうで、国民の知る権利と戦術戦略の遂行をどう両立させるかは永遠の課題のようです。

さて、今年度の税収の伸びが予想を上回って堅調で、当初見積り額を数兆円上回りそうです。これをすべて借金返済に回したい財務省と、多少なりとも景気対策や格差是正・地方対策に使いたい各省との攻防戦が補正予算編成に向けて始まります。

今年度の赤字国債発行予定額 29 兆 9 千億をさらに補正でいくら減らしていくのか、財政再建の大方針を揺るがす事はできませんので、税収増の相当部分はそうするにしても、来年度以降の経済成長戦略や地方の声を無視するわけにはいきません。知恵の攻防戦がしばらくは続きます。

 

今週の出来事「催 (?) チャレンジ

 

春秋の園遊会には必ず出席していますが、閣僚になると事前に整列して天皇陛下ご一行をお迎えします。

昔は役職名と名前を申し上げて一礼をするだけだったと記憶しておりますが、昨今は立ち止まってお言葉をかけられる宮様が多くなられました。閣僚になった事を実感すると共にお心遣いに心から感謝を申し上げます。

ところで、右隣に並んだ再チャレンジ担当の山本有二大臣は四人の子持ち。少子化対策に一人で奮闘しています。左隣の少子化対策担当の高市早苗大臣にはまだお子さんがありません。

就任した時に 「何で私が少子化担当なの?」 とつぶやいていましたが、考えてみれば山本大臣が少子化対策担当で高市大臣が (子作り) 再チャレンジ担当の方が理にかなっているんじゃないか、と思わず一人で納得してしまいました。

読者の皆さん、高市家に精力剤の差し入れを!

山本拓 (代議士、高市大臣の夫) 頑張れ!!