国会リポート 第59号

甘利明本人が綴る、毎月2回のコラムです。国政で今何がおきているのか解りやすく解説しています。

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毎年 11 月下旬から 12 月中下旬にかけての一ヶ月間は自民党議員にとって一年で最も忙しい期間になります。翌年度以降の税制をどうするかを審議する自民党税制調査会は 11 月下旬にスタートし、党所属国会議員全員参加の最大行事です。

若手の議員は、この場で演説を磨き、論理的・情緒的説得力を試されます。今年の話題は定率減税の存廃と環境税の有無です。

仮にダブル増税になりますと、国民負担は 4 兆円を超えますから慎重にならざるを得ません。また、それ以外に投資をした時の減税、寄付をした時の控除等々、数百項目に及ぶ租税の特別措置を再検討します。税の制度が決まらないと税収が確定できませんから予算が組めません。12 月 15 日までに翌年度の税の制度を確定し、税収見積もりを確定し、それをもとに予算編成作業が大詰めを迎えます。天皇誕生日前後に、予算政府原案が与党に承認されると翌日閣議決定したします。その時点で年内の我が党の公式日程は終了致します。

その間、議員は自分の関係する部署や、興味のある部会に出席し (自民党の良い所は基本的に全ての部会に参加できる自由があることです) 持論を展開します。役所の説明も勉強になりますが、会議の席上出席議員の質問や問題提起は 「こういう視点もあるのか」 と参考になります。

自民党は、世間で言われているよりはるかに真面目に勉強している政党なんです。

 

今週の出来事「ホラー見たことか?!

 

日本のホラー映画 「呪怨」 のハリウッドリメーク版 「グラッジ」 がアメリカで 2 週連続興行収入 1位を続けています。指揮を執ったのは日本の新進気鋭 32 歳の清水崇監督です。もちろん出演者はサラ・ミシェル・ゲラーを始め、ハリウッドのスター達です。撮影は今春、東京・世田谷の砧スタジオで行われましたが、日本映画とお金の掛け方が一ケタ違うため、スタジオの中に再現した日本家屋と庭園は、それは立派なものでした。私は、映画産業を始めとするコンテンツ産業振興議員連盟の会長をしており、数々の政策提言をしていた事もこれあり、役員を率いて撮影現場を視察し、主演女優のゲラーと会い、激励をして来ました。29 日の月曜日に日本試写会があり、招待を受けて舞台挨拶前の清水監督と対談を致しました。日本のホラー映画は、ハリウッド映画のように物理的恐怖感ではなく、心の底から湧き上がるようなヌメっと纏わり付く恐怖感で構成されているため脚本は引っ張りだこで、続々とリメーク版がアメリカで公開をされる予定です (清水監督にも数億の契約金で次作のオファーが来ているとの事です)。私の数々の政策提言がすべて時代を先取りしたものになり、今更ながら自分の才能に鳥肌が立ちます (冗談)。