国会リポート 第36号

甘利明本人が綴る、毎月2回のコラムです。国政で今何がおきているのか解りやすく解説しています。

総 覧

ご無沙汰いたしました。おかげさまで総選挙を大勝することができました。本当に有難うございました。

まだ開票も始っていない午後 9 時 2 分に NHK が私の当確を報じたため、事務所の人出はまだまばらで 「本当かよ?」 という状態でした。マスコミに促がされて万歳三唱をして、やっと実感が涌いてきました。

開票速報の途中で民主大勝かという報道が流れましたが、議席が確定するにつれてテレビのレポーターや民主党幹部のはしゃぎぶりが次第にトーンダウンし、最後は 「どっちが勝ったんでしょうね」 というようなコメントに変わりました。

民主党が躍進したことは紛れもない事実ですが、自民党が現状維持をしたことも、また事実です。自民党で単独過半数 241 を確保しましたし、保守新党の合流、さらには無所属からの合流も加えれば 250 に迫ろうとする勢いです。つまるところは社民党、共産党の議席が激減し、その分がそっくり民主党に移って、民主党への躍進につながったということでしょう。

つまり国民は 2 大政党化を選択したということです。民主党が仕掛け、マスコミが乗せられてしまった 2 大政党論に、有権者が誘導され、また自民党自身もこの土俵に無警戒に上がってしまったということでしょう。外交、安保、エネルギー等、国家の基本政策において、党としての意思統一をしきれない民主党は、まだまだ政権を託すには時期尚早な状態にもかかわらず、我が党ですら結果としてそれを助けてしまった、ということです。市場原理至上主義者の小沢一郎氏と、高福祉高負担政策の 「大きな政府論者」 たる旧社会党系の人たちによる政党が、選挙のために口をつぐんで基本政策を議論せず、有権者をごまかしていられる期間はそう長くはないと思います。

一方、自民党も反省させられることが多々あります。小泉構造改革の何たるかを有権者に説明せず、集票マシンとしての小泉安倍人気に頼ろうとした人は、これからも選挙で苦戦するはずです。今、我々がやろうとしている歴史的改革、つまり今後 50 年間の歴史の風雪に堪えうる新しい日本の制度、仕組みを構築していくという改革趣旨を理解せずに、選挙目当ての口先だけの改革論では有権者はそっぽを向くということです。

 

今週の出来事「ほんとに困ったなぁ…

 

選挙戦 7 度目にして初めて期間中の半分以上を選挙区を離れ、我が党候補 ( 22 名) の応援に回るという経験をしました。

新人を含めその多くが当選してくれましたが、肝心かなめの山崎副総裁が落選してしまいました。党本部で開票速報を見守る際、隣に座っていた総理秘書官から 「先生、大丈夫ですよ。比例復活がありますから」 と慰められましたが、報告される情報では 1 万票前後の差と承知していましたので、自分の当選の喜びは次第に失せてしまいました。

「ほんとに困ったなぁ・・・」

山崎さんは参院選に出て議席を回復した方がいいと思いますか。