国会リポート 第35号

甘利明本人が綴る、毎月2回のコラムです。国政で今何がおきているのか解りやすく解説しています。

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いよいよ衆議院が解散されました。憲法 7条には、天皇は内閣の助言と承認の下国会を解散することができる、と書いてあります。解散は天皇陛下の国事行為ですが、現実には総理大臣たる小泉総裁の専権事項と言えましょう。

この解散を小泉総理は 『改革推進解散』 と呼び、菅民主党代表は 『マニフェスト解散』 と称しています。マニフェストとは 「政権公約」 のことであり、要するに各党が従来から掲げてきた選挙公約に予算と期限をつけたものに過ぎません。元々は英国の選挙の際に使われる表現ですが、それを北川正恭三重県知事 (当時) が借用し、さらに菅民主党代表が又借りしたものです。

民主党が政権を獲れば、諫早湾干拓事業はただちに取り止めるという勇ましいマニフェストを発表したのはよいのですが、民主党長崎県連が 「話が違う」 と猛反発し、菅代表の長崎入りが前日に中止になったという醜態を演じました。高速道路をタダにするという公約も 「タダより怖い (高い?) ものはない。そのツケはどこに回るのか」 と有権者から早くも警戒の声が上がっています。

小泉政権の外交の基本方針は、日米同盟と国際協調ですが、菅氏にはどうもこの日米同盟が米国追従外交と映るのようです。アメリカに何を言おうと、日米安保条約がある以上、アメリカは日本を守るのが義務だと考えている氏は、意気揚々とアメリカに乗り込んで外交パフォーマンスを演じようとしましたが、アメリカ側の反応が冷たく、そんな党首には大統領はおろか補佐官すらそっぽを向き、誰も面会してくれないという事態に陥り、訪米そのものを取り止めるという大失態に至りました。

マスコミは選挙が近づくにつれ、民主党支持に誘導しようとする目論見が露骨に見え隠れしますが、理念哲学の対極に位置する民主党・自由党の合併は、与党になることだけを目的とした苦し紛れの合併劇であり、選挙の後の党内政策論争に耐え切れない政党となるはずです。3 年以内に分裂は必至でしょう。

 

今週の出来事「精力剤?

 

応援演説要請は何と言っても安倍幹事長がダントツ人気です。一人の候補者への応援を了解すると、その周辺の候補から 「ついでにうちにも回ってきてくれ」 という要請が殺到し、一人行くところをたちまち 4 人 5 人のスケジュールを組む羽目になってしまいます。

投票日までの長丁場で幹事長が倒れてしまわぬよう、食事の時間は休憩も含めて 1 時間は確保せよと事務方に指示をしておりますが、45 分になり、30 分になり、と幹事長には誠に気の毒な日程になってしまいそうです。

こうなりゃユンケル皇帝液でも大量に差し入れますかね。