国会リポート 第34号

甘利明本人が綴る、毎月2回のコラムです。国政で今何がおきているのか解りやすく解説しています。

総 覧

予想を上回る高得票で小泉総裁が再選を果たしました。地方票の得票率は全国平均 57%。これは 2 年半前の小泉ブーム時の得票をわずか 1% 下回っただけでした。神奈川はご多分に漏れず全国最高得票率で 77.5% 。県連会長としては面目を保ちました。地方票 300 票のうち 205 票獲得は当初の予想を大幅に上回るものでした。議員票は 357 票のうち 194 票でした。正直を言いますと、小泉選対では 220 票程度と読んでいたので、どこの票が逃げたのか、疑心暗鬼となる一幕もありました。

さて、問題はその後の人事です。投票日が近づいてくるにつれ、山崎幹事長降ろしの風圧は日増しに強くなってきました。山崎派幹部で相談を重ねた上での苦渋の結論は、総理の判断に委ねるしかないということになりました。固唾を呑んで見守った結果は、山崎氏を副総裁に横滑りさせるというものでした。その時はともかく、しばらく経って振り返ってみれば、見事としか言いようのないものでした。

党内ナンバー 2 の副総裁として遇することにより、山崎氏への友情と面子を保ち、幹事長をすげ替えることによって、森前総理・青木参院幹事長の面子を立て、当選 3 回、49 歳で国民に圧倒的人気のある安倍晋三氏を幹事長に抜擢することによって内閣および自民党の支持率を引き上げ、最高の選挙対策としたもので、党内の拍手を浴びました。三方一両損ならぬ三方一両得とした采配は、さすが 「感性の小泉」 の面目躍如でした。注目の組閣も 「感性内閣」 であり、支持率アップに貢献しました。

問題は選挙後です。日頃小泉政権の維持運営に汗をかいている部署からの登用がなく、小泉政権では汗をかいてもかきっ放しで放置され、体が冷えて風邪を引きそうだ、との声が限界点に達しようとしています。選挙があるから、と押さえてきたタガは、選挙が終わった時には外れ暴発しそうです。見えない所で汗をかいている人たちが評価されない事態が続くと、我が党はスタンドプレーしかしない議員集団になる恐れが懸念されます。

 

今週の出来事「後見人?

 

安倍幹事長と仕事の段取りをとっています。

「党務は久間さん (幹事長代理) と甘利さんにお任せして、私はできるだけ外に出ようと思います」

「そうして下さい。安倍幹事長の仕事は、党の看板として党勢拡大に努めてもらうことにありますから」

何となく若い幹事長の後見人のような気分になってきたのは、私も歳なのかなぁ・・・。