国会リポート 第19号

甘利明本人が綴る、毎月2回のコラムです。国政で今何がおきているのか解りやすく解説しています。

総 覧

いよいよ来年度予算案の衆議院の攻防も最終局面を迎えました。

景気対策には予算の年度内成立が欠かせません。予算は衆議院で可決すれば 1 ヶ月後に自動成立する案件ですから、2 月中 (遅くとも 3 月頭初) に衆議院を通過させる必要があります。

予算を採決する前提条件として公聴会を開くことが法律上義務付けられているため、それを経ずしてたとえ強行採決しても、その採決は有効とはなり得ません。そこで公聴会設定のための委員会採決が最大の山場になります。公聴会はすでに今週火・水曜に設定されましたので、採決の法定要件は整いました。あとは 3 月 3 日予算案採決を如何にスムーズに行うか、ということになります。

野党も 「景気回復を早急に」 と指摘しておきながら予算成立に抵抗するのは、国民の理解を得られないことになります。

イラク問題が大詰めを迎えていますが、このことは隣国北朝鮮問題の対処と密接な関係を持っています。金正日が目指すのは 「核ミサイルの配備による究極的バーゲニングパワー (交渉力) の取得」 つまり 『脅し外交の最終兵器』 を手に入れるということです。それが実現してしまった後では、もはや我々になす術はありません。金正日の足元にひれ伏すしかないのです。かつていくつもの国際合意を表面上受け入れながら、水面下でこれを無視し着々と核開発を続けてきた北朝鮮には 「きれいごとでは通じない」 という言葉を銘記しつつ、外交交渉に臨んでいかなければなりません。

外交の結論は妥協ですが、その大前提として 「毅然たる姿勢で臨む」 ことが必要です。これを忘れては 「亡国の外交」 となります。

 

今週の出来事「新日銀総裁は…

 

先日久しぶりに加藤紘一元幹事長から声をかけられ、数人で会食しました。

同伴の議員から

「甘利さんは山崎幹事長の側近だから、日銀総裁人事はもう分かってるんでしょ?」

という質問がありました。

「たとえ幹事長が知っていたとしても、そんな重大な情報を俺ごときに知らせるはずがないよ。誰が就任するかによって、株価が上がったり下がったりする重大情報だから」

すると加藤氏は 「そうだなぁ、俺が幹事長の時に今の速水総裁が決まったんだけども、橋本総理からは発表の 1 時間前に俺に電話があったよ。そん時も今みたいに酒飲んでたんだけどさ」

重大案件はギリギリまで情報管理がなされるようです。

これがお手元に届く頃には決定しているでしょう。私は終始一貫、福井氏を推していましたけどね。