国会リポート 第12号

甘利明本人が綴る、毎月2回のコラムです。国政で今何がおきているのか解りやすく解説しています。

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衆参統一補欠選挙が終わり、結果は 5 勝 1 敗 1 分けとなりました。マスコミが予測し得る与党にとっての最良の結果でした。

1 つだけ残念なことは、私の担当する神奈川で勝利できなかったことです。党本部から応援部隊として関係議員の秘書 30 名ほどを送り込みましたが、やがて彼らは睡眠時間をも削って (平均 3 ~ 4 時間) 候補者にいれ込むようになりました。そうならしめたのも候補者 = 山際大志郎君の人柄と情熱によるものです。全選挙区を回った党 3 役の 1 人は 「演説の上手さとタマとしての素晴らしさは、山際大志郎がピカイチだな」 と私に言うくらいですから、それもその筈です。

候補者に 「政策全般についてどう対応すべきか、アドバイスをして欲しい」 と尋ねられたので、

「最初から政策全般にオールマイティーな政治家など存在しない。『分からないことは分からない』 と開き直るくらいで構わない。むしろ自分のやってきたこと、情熱を傾けてきたこと、勉強してきたことから政策を展開し、小泉改革と結びつける演説をすればいい」

とアドバイスしましたが、彼は見事にそれを実践しました。

1 日 3 時間の睡眠で 1 ヶ月間びくともしないでいるのは、愛好しているスポーツ、トライアスロンのおかげなんですかね。若いっていいなあ。

 

今週の出来事「スポークスマン役は難しい

 

毎晩私の赤坂宿舎に 7 ~ 8 人の記者が訪れるのはこの 1 年半の恒例となっていますが、政局や政策の節目になるとさらに増員します。

昨夜 (10 月 29 日) は山崎幹事長の番記者が全社 (16 社の新聞・テレビ) 集まったのではないかと思うほどごった返しました。それもその筈、昨日は竹中金融経済財政担当大臣の 「不良債権処理スキームの政府与党調整」 の大詰めだったからです。昨夜の私の日程は、夜 6 時半から党新旧幹事長懇談会、8 時半から 2 次会、9 時半からは某新聞社記者団との懇談とつづき、11 時半まで幹事長と行動を共にしましたが、宿舎に帰ると記者団に囲まれて、また懇談です。不良債権処理をはじめ政府与党の検討事項について、どこまで情報を提供し、どこからはしないか、ということは幹事長室のスポークスマン役として毎回非常に頭を悩ませるところです。ペラペラと軽率にしゃべってしまっては、記者には好都合でも執行部としては失格です。ニュース報道が先んじたために話が壊れることはよくある出来事です。かといって、秘密主義だけではマスコミに対する幹事長室の信頼関係を損なわせます。

いかに間合いを取るかは、永遠の課題です。